オルガラン(ダナパロイドナトリウム)とは:ヘパリン類
Danaparoid sodium(ダナパロイドナトリウム)
ダナパロイドナトリウム(商品名:オルガラン)は低分子量ヘパリノイドであり(分子量5,500)以下の成分から構成されています。
ヘパラン硫酸84%、デルマタン硫酸12%、コンドロイチン硫酸4%(ヘパラン硫酸が主成分である)。
抗Xa/トロンビン活性比が非常に高く(22倍:標準ヘパリンは1倍)、血中半減期が相当長い(20時間:標準ヘパリンは0.5〜1時間)ことが特徴です。
標準ヘパリン、低分子ヘパリン(low molecular weight heparin:LMWH)(商品名:フラグミンなど)同様に、アンチトロンビン(AT)依存性に抗凝固活性を発揮し、主としてXaを阻止します。
日本における保険適応は、播種性血管内凝固症候群(DIC)のみですが、欧州においてはヘパリン起因性血小板減少症(HIT)、深部静脈血栓症(DVT)に対して頻用され好成績が報告されています。
血中半減期が長い特徴を生かせば、24時間持続点滴で患者を拘束したくない慢性DIC症例、術後早期離床を促したい患者における術後DVT発症予防などで最も有用性を発揮できるものと考えられます。
注意点:
1)腎代謝のため、腎機能低下症例では用量を減じます。また、抗Xa/トロンビン活性比が高いと出血の副作用が少ないと言われてはいますが、万一出血した場合には半減期が長いことがデメリットになることもありえます。
2)管理者らは、腹部大動脈瘤や肝巨大血管腫に合併した線溶亢進型DIC(慢性に経過)に対して、ダナパロイドナトリウムとトラネキサム酸の併用療法を行い、患者のADLを損なうことなく優れた効果を発揮した症例を経験しています。また、抗リン脂質抗体症候群(APS)患者における習慣性流産に対しての臨床試験がおこなわれた上で、適応が是非欲しいところです。
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参考記事(フラグミン、クレキサン、オルガラン、アリクストラ):ヘパリン類
NETセミナーも参照:DICの病態・診断、DICの治療
Ontachi Y, Asakura H, et al: Kasabach-Merritt syndrome associated with giant liver hemangioma: the effect of combined therapy with danaparoid sodium and tranexamic acid. Haematologica. 2005 Nov;90 Suppl:ECR29.
Ontachi Y, Asakura H, et al: Effect of combined therapy of danaparoid sodium and tranexamic acid on chronic disseminated intravascular coagulation associated with abdominal aortic aneurysm. Circ J. 2005 Sep;69(9):1150-3.
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・ヘパリン類(フラグミン、クレキサン、オルガラン、アリクストラ)
・低分子ヘパリン(フラグミン、クレキサン)
・オルガラン(ダナパロイド )
・フサン(線溶亢進型DICに対する特効薬)
・リコモジュリン(トロンボモジュリン製剤)
・NETセミナー:DICの病態・診断
・NETセミナー:DICの治療
・NETセミナー:血栓症と抗血栓療法のモニタリング
・プラビックス:パナルジン、プレタール、プロサイリン、ドルナー、ワーファリンとの比較(納豆は大丈夫か?)
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 09:34| 抗凝固療法 | コメント(0)