金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2008年09月24日

アリクストラ(フォンダパリヌクス)とは:ヘパリン類

Fondaparinux(フォンダパリヌクス)

Fondaparinux(商品名:アリクストラ)は、ヘパリンの最小有効単位であるペンタサッカライドの合成化合物であり(分子量1,728)、アンチトロンビン依存性にXa活性を発輝します。


ダナパロイドナトリウム
(商品名:オルガラン)以上に、抗Xa/トロンビン比は高く、極めて特異的にXaを抑制します。また、大部分は腎にて代謝されます。
本薬は、股関節または膝関節手術後の深部静脈血栓症(DVT)発症予防としての有効性が確認されています 。また最近、腹部外科手術後のDVT予防としても保険が認可されました。


予防治療がほとんど認められていない日本の保険医療の場において、アリクストラが
(クレキサンとともに)DVTの予防薬として認可されたのは、まさに画期的なできごとです。


1日1回の皮下注投与でよいため(低分子ヘパリン LMWHは1日2回皮下注が必要)、利便性も評価されています。


ただし、半減期が長いことや、ヘパリンに対するプロタミンのような中和薬がないことは、本薬を使用する際には注意すべきです。

出血の副作用が少ないとは言っても、万一出血の副作用が出現してしまった場合には対応に苦慮する懸念があります。


特に、術直後の投与開始、高齢者、低体重者、腎機能低下例、消化性潰瘍の既往や消化管出血の可能性が高い患者、ワルファリン・抗血小板薬・非ステロイド系消炎鎮痛薬(NSAID)との併用においては注意が必要です。


整形外科疾患では痛みを伴うことも多く、NSAIDの使用例も多いと予想されますが、NSAIDによる胃潰瘍の副作用に対しては充分な配慮が必要です(胃潰瘍を発症していると本薬によって大量の消化管内出血を誘発する可能性があります)。

現在日本では、予防目的としてアリクストラ1.5mgと、2.5mgの2種類の規格単位の薬剤を使用可能ですが、出血の副作用を嫌ってか最近は1.5mg規格単位の使用頻度が増加しているようです。

 

 

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:22| 抗凝固療法 | コメント(0) | トラックバック(0)

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