金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2008年09月25日

フラグミン(ダルテパリン)、クレキサン(エノキサパリン)とは:低分子ヘパリン

ダルテパリン エノキサパリン(ともに、低分子ヘパリン)

推薦図書:「臨床に直結する血栓止血学」へパリン類などの抗凝固療法に関しても詳述されています。


日本で使用可能な低分子ヘパリン(low molecular weight heparin: LMWH)は、長らくダルテパリン(商品名:フラグミンなど)1剤のみでしたが、最近になり整形外科術後の深部静脈血栓症(deep vein thrombosis:DVT)予防目的にエノキサパリン(商品名:クレキサン)の使用が可能になりました。

アリクストラとともにクレキサンが、治療薬としてではなく予防薬として保険収載がなされたというのは、日本における保険制度の上で、まさに画期的な出来事ではないかと考えられます。


低分子ヘパリン(LMWH)の特徴としては、抗Xa/トロンビン活性比が未分画ヘパリンよりも高く(相対的にトロンビンを阻止しにくい)、血小板に対する影響が少なく出血の副作用が少ないことがあげられます。

また、未分画ヘパリンと異なり非特異的に血漿中蛋白(histidime-rich glycoprotein, fibronectin, vitronectin,血小板第4因子など)とほとんど結合しないために、ヘパリン不応例のような問題はあまりなく血中濃度も安定しやすいです

また、未分画へパリンでみられるヘパリン依存性血小板減少症(HIT)や骨粗鬆症といった副作用もみられにくいです。

血中半減期は標準ヘパリンより若干長いですが、フラグミンでは24時間持続点滴による投与が基本です。クレキサンでは皮下注投与が行われています。

LMWHのモニタリングをどうするかについては、国際血栓止血学会雑誌において何回も誌上討論が行われたくらいであり一定の見解はありませんが、低体重の症例や腎機能障害の症例においては減量して使用すべきと言う点は、ほぼ共通した認識です。

 

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DIC病型分類に関する欧文論文:Classifying types of disseminated intravascular coagulation: clinical and animal models.  Journal of Intensive Care 2014, 2: 20.

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:55| 抗凝固療法 | コメント(0) | トラックバック(0)

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