金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2008年09月26日

【金沢大学血液内科進級試験過去問題】兼:医師国家試験・専門医試験対策

金沢大学血液内科進級試験過去問題(2005年)


下記の疾患または病態のうち、検査所見の記載が正しいのはどれか。

                      出血時間    PT   APTT       Fbg       HPT 
a. 血友病 A                         延長       正常        延長       正常      正常
b. Glanzmann病              正常       正常        延長       正常      正常
c. 先天性第XII因子欠損症      正常        延長        正常    正常      正常
d. ワルファリン内服              正常       延長        延長       正常      正常
e. Bernard-Soulier症候群      延長        正常        正常      正常      正常 


PT:プロトロンビン時間、APTT:活性化部分トロンボプラスチン時間、Fbg:フィブリノゲン、HPT:ヘパプラスチンテスト


(ポイント)
a.
血友病 A:先天性第VIII因子欠損症。関節内出血などの深部出血を特徴とする。伴性劣性遺伝。APTTは延長するが、出血時間、PTは正常。

b. Glanzmann病血小板無力症と同義。
血小板膜糖GPIIb/IIIaの先天性欠損症。血小板機能(血小板凝集)が低下している。血小板凝集能で、ADPの一次凝集が欠如する。PT&APTTは正常。出血時間は延長する。

c. 先天性第XII因子欠損症:第XII因子は、内因系凝固活性化機序の最初の凝固因子。

d. ワルファリン:ワルファリンは、ビタミンKの拮抗薬。深部静脈血栓症や肺塞栓などの静脈血栓症の発症抑制、心原性脳塞栓の発症抑制などに用いられる。PT&APTT(特にPT)が延長する。HPTは、ビタミンK依存性凝固因子の中でも、VII、X、II因子を総合的に評価する。ワルファリン内服により、HPTが低下するが、肝不全になる訳ではない。

e. Bernard-Soulier症候群:血小板膜糖タンパクGPIb/IXの先天性欠損症。血小板の粘着障害を起こす。


(内科専門医試験対策)
 内科専門医試験でも、PT、APTT、Fbg、FDP、Dダイマー、出血時間などの基本的検査と疾患/病態との関係は出題が予想される。
その他、アンチトロンビン、プロテインC、プロテインS、TAT、PICなどの基本的検査の意義は理解しておく必要がある。


(血液専門医試験対策)
 Bernard-Soulier症候群では、巨大血小板が出現することは、必ず記憶しておきたい。

巨大血小板が出現する疾患

1)
Bernard-Soulier症候群
2)特発性血小板減少性紫斑病(ITP)
3)May-Hegglin異常症



(答)e


(補足)
この形式の凝固問題は、金沢大学では必出!
絶対に落とさないようにしよう。

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 20:01| 医師国家試験・専門医試験対策 | コメント(0) | トラックバック(0)

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