金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2008年09月27日

【金沢大学血液内科進級試験過去問題】兼:医師国家試験・専門医試験対策

 

金沢大学血液内科進級試験過去問題(2005年)


下記の疾患のうち出血傾向、血栓傾向の両者がみられる疾患・病態はどれか。

a.    高Lp(a)血症
b.    電撃性紫斑病
c.    先天性プロテインC(PC)欠損症
d.    先天性α2プラスミンインヒビター(α2PI)欠損症
e.    高プラスミノゲンアクチベータインヒビター(PAI)血症


(ポイント)

a.    高Lp(a)血症:動脈血栓症、静脈血栓症の危険因子。参考までに、高ホモシステイン血症も、動脈血栓症、静脈血栓症の危険因子。

b.    電撃性紫斑病:プロテインC活性が著減(0%に近い)した状態での、DICに類似した高度の血栓傾向。皮膚の微小循環レベルで血栓が多発する。血流障害に伴って、血管外に血液がリークし、二次的に紫斑をきたす。

先天性プロテインC(PC)欠損症のホモ接合体では生後間もなく、
電撃性紫斑病を発症する。

あるいは、
先天性プロテインC(PC)欠損症のヘテロ接合体(PC活性は約50%)では、ワルファリンを内服すると、ビタミンK依存性蛋白であるPCがさらに低下して0%に近づくため、電撃性紫斑病を発症する。

c.    先天性プロテインC(PC)欠損症:しばしば若い時期から静脈血栓症を発症する。

d.    先天性α2プラスミンインヒビター(α2PI)欠損症:線溶活性化が高まり出血傾向をきたす。

e.    高プラスミノゲンアクチベータインヒビター(PAI)血症:線溶が抑制され血栓傾向をきたす。


(内科専門医試験対策)

PAIは、中性脂肪、インスリン濃度、肥満度と正相関する。最近話題のメタボリック症候群では、PAI活性が高まり線溶抑制状態となるため、血栓傾向となる。


(血液専門医試験対策)
出血傾向、血栓傾向の両者がみられる疾患・病態の治療は困難なことが多い。以下は、出血傾向、血栓傾向の両者がみられる。
1)DIC
2)TTP、HUS、HELLP
3)異常フィブリノゲン血症
4)ITPと抗リン脂質抗体症候群(APS)の合併
5)骨髄増殖性疾患のなかの、ET、PV
6)ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)




(答)b

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:10| 医師国家試験・専門医試験対策 | コメント(0) | トラックバック(0)

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