【金沢大学血液内科進級試験過去問題】兼:医師国家試験・専門医試験対策
金沢大学血液内科進級試験過去問題(2005年)
(設 問)
抗リン脂質抗体症候群(APS)に関する記載として、正しいものはどれか。
a. APTT、PTともに正常であれば、APSを否定できる。
b. 抗カルジオリピン抗体が陰性であれば、APSを否定できる。
c. 静脈血栓症では、深部静脈血栓症が最も多い。
d. 習慣性流産の若年女性に対しては、ワルファリンによる抗凝固療法を行う。
e. 深部静脈血栓症の若年男性に対しては、アスピリンによる抗血小板療法を行う。
(ポイント)
a. APSは、血栓症、不育症(習慣性流産)といった臨床症状があり、抗カルジオリピン抗体およびループスアンチコアグラントのいずれか一方以上が陽性であれば診断される。
APTTが延長することがあることは有名だが、必ずしも延長することと診断は関係ない。
b. 抗カルジオリピン抗体が陰性であっても、ループスアンチコアグラントが陽性であれば、APSと診断されうる。
c. APSでは、静脈血栓症では、深部静脈血栓症が最も多い。動脈血栓症では、脳梗塞が最も多い。
d. ワルファリンには催奇形性の副作用があるため、妊娠希望の女性には使用できない。
e. 深部静脈血栓症対しては、アスピリンによる抗血小板療法よりも、ワルファリンによる抗凝固療法の方が有効である。
(内科専門医試験対策)
ビタミンK依存性蛋白:VII、IX、X、II、プロテインC、プロテインS、オステオカルシンなど。
(血液専門医試験対策)
APTTや、カオリン凝固時間のクロスミキシングテスト(混合試験)の、成績を解釈できるようにしておきたい。
凝固因子欠乏パターン vs. インヒビターパターン。
(答)C
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:10| 医師国家試験・専門医試験対策 | コメント(0) | トラックバック(0)