プラビックス、プレタール、パナルジン、プロサイリン、ドルナー、ワーファリン、納豆
【プラビックスとは】
抗血小板薬のプラビックス(薬品名:クロピドグレル)は、パナルジン(薬品名:チクロピジン)の改良型です。プラビックスのことを、スーパーパナルジンと言ったこともあります。
よく、種々の抗血栓薬の違いについてご質問をお受けしますので、代表的な抗血栓薬の比較をしたいと思います。
【プラビックスとパナルジンの比較】
パナルジンには、肝障害、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、無顆粒球症などの副作用が問題になることがあります。これらの副作用はまれですが、一旦発症しますと重症化することがあります。プラビックスでは、これらの副作用が明らかに少なくなっています。しかも、効果はパナルジンと同等以上です。すべての点で、パナルジンよりもプラビックスの方が優れているように思います。
ただし、一点のみ、プラビックスの方が劣る点があります。薬価が高いことです。どのようなお薬でも、新薬は高いのが特徴です。新薬の開発に、製薬会社も莫大な資金を投入していますので、ある程度高いのは仕方のないところです。
しかし、薬価の点を除きますと、すべての点において、プラビックスの方が優れていると考えて良いと思います。もし、管理人が内服するのであれば、迷うことなく、パナルジンではなくプラビックスを選択すると思います。
【プラビックスとプレタールの比較】
プラビックスも、プレタールも、抗血小板薬(血小板機能を抑制する)という点では共通しています。
プラビックス:
上記のごとく、パナルジンの改良薬です。パナルジンより副作用が少なく効果は同等以上です。今後、パナルジンはあまり使用されなくなり、代わってプラビックスの処方が多くなっていくものと推測されます。血小板の働きを抑制します。
プレタール(補足:プロサイリン、ドルナー):
血小板抑制作用に加えて、血管拡張作用があります。ラクナ梗塞に対してエビデンスがあるのはプレタールのみです。また、閉塞性動脈硬化症(ASO)の特効薬でもあります(プロサイリン、ドルナーもASOの特効薬です)。頭重と、動悸の副作用が高頻度に出現しますので、患者様に充分説明させていただく必要があります。副作用を軽減するために、少量から漸増していくのがコツです。
(補足)ASO治療薬であるプロサイリン、ドルナーにも血小板抑制作用に加えて、血管拡張作用があります。頭重と、動悸の副作用が高頻度に出現する点も、プレタールと共通しています。
【プラビックスとワーファリンの比較】
抗血小板薬(アスピリン、パナルジン、プラビックスなど)と、抗凝固薬(ワーファリン)は、違う分類に入るお薬です。
ですから、プラビックスは抗血小板薬、ワーファリンは抗凝固薬です。当然ながら、治療対象疾患が異なってきます。
抗血小板薬は、血小板活性化がおきている病気で使用します。具体的には、プラビックスの適応は下記の通り、虚血性脳血管障害(心原性脳塞栓症を除く)後の再発抑制などです。
抗凝固薬は、凝固活性化がおきている病気で使用します。具体的には、ワーファリンは、深部静脈血栓症、肺塞栓、心房細動などで用いられます。
ただし、同じ脳梗塞の再発予防でも、心原性脳塞栓症(心房細動が原因)の場合は、プラビックスではなくワーファリンを使用します。
【プラビックスとビタミンK】
プラビックスは、ビタミンKにより効果がなくなるということはありません。
たとえば、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)のお薬に、グラケーというお薬がありますが(グラケーはビタミンKそのものです)、プラビックスに併用しても何ら問題ありません。
ただし、ワーファリン(ビタミンKの拮抗薬です)内服中の患者さまは、ビタミンK製剤(グラケーなど)を内服してはいけません。
【プラビックスと納豆】
抗血栓薬としては、
1)抗血小板薬:アスピリン、パナルジン、プラビックス、プレタール、プロサイリン、ドルナーなど。
2)抗凝固薬:ワーファリンなど。
などが知られています。
上記のお薬のなかで、納豆を食べていけないのは、ワーファリン内服中のみです。ワーファリンはビタミンKの拮抗薬ですが、納豆には極めて大量のビタミンKが含有されているために、ワーファリンの効果を打ち消していまうのが理由です。
プラビックスを内服していても、納豆は普通に食して全く問題ありません。
【効能】
プラビックス
1)虚血性脳血管障害(心原性脳塞栓症を除く)後の再発抑制。
2)経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される急性冠症候群(不安定狭心症、非ST上昇心筋梗塞)(アスピリンと併用します)。
パナルジン
1)血管手術及び血液体外循環に伴う血栓・塞栓の治療ならびに血管手術及び血液体外循環に伴う血流障害の改善。
2)慢性動脈閉塞症に伴う潰瘍、疼痛及び冷感などの阻血性諸症状の改善。
3)虚血性脳血管障害(一過性脳虚血発作(TIA)、脳梗塞)に伴う血栓・塞栓の治療。
4)クモ膜下出血術後の脳血管攣縮に伴う血流障害の改善。
プレタール
1)脳梗塞(心原性脳塞栓症を除く)発症後の再発抑制
2)慢性動脈閉塞症に基づく潰瘍、疼痛及び冷感等の虚血性諸症状の改善
ワーファリン
血栓塞栓症(静脈血栓症、心筋梗塞症、肺塞栓症、脳塞栓症、緩徐に進行する脳血栓症等)の治療及び予防。
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・プラビックス:パナルジン、プレタール、プロサイリン、ドルナー、ワーファリンとの比較(納豆は大丈夫か?)
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:11| 抗凝固療法 | コメント(0) | トラックバック(0)