播種性血管内凝固症候群(DIC):病態と疫学(図解2)
播種性血管内凝固症候群(DIC)の本態は、全身性持続性の著しい凝固活性化状態です。ですから、DICはまさに究極の血栓症(血栓症の王様)ということができると思います。
ただし、DICは究極の血栓症であるにもかかわらず、出血症状がみられることがあります。本来であれば、「血栓」と「出血」というのは、180度ベクトルの異なった病態なのですが、この相反する病態が共存しているところがDICの難しいところでもあり(病態の面でも、治療の面でも)、予後が芳しくない理由と考えられます。
旧厚生省(厚生労働省)研究班の疫学調査によりますと、DIC患者数は73,000人/年と推測されています。また死亡率は、56.0%と極めて予後不良です。DIC症例では、基礎疾患そのものが重篤なことが多く、基礎疾患のために救命できないこともありますし、また、DIC以外の合併症により救命できないこともあります。
しかし、DICそのものが死因となった例が、9,800人/年と報告されています。言い方を変えますと、DICの診断技術の向上や治療法の改善により年間に約1万人の方を救命しうるということができます。
DICの研究は、この年間に約1万人の方を救命するためにあるということができます(もちろん世界的に言えばさらに大きな数になります)。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:47| 播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解) | コメント(0) | トラックバック(0)