播種性血管内凝固症候群(DIC):病型分類(動物モデルとの対比)(図解23)
上図は、臨床のDIC病型分類に、ラットDICモデルを追加したものです。
LPS誘発DICモデルでは、線溶阻止因子PAI(plasminogen activator inhibitor;プラスミノゲンアクチベータインヒビター)が著増して線溶抑制状態にあります。そのために血栓は溶解されにくく、Dダイマー(D dimer)は軽度上昇にとどまります。肝腎障害は高度でしたが、出血症状としての血尿は全く見られませんでした。この点、臨床の線溶抑制型DIC(旧名称:凝固優位型DIC)に類似した病態と考えられます。
一方、組織因子(TF)誘発DICモデルでは、線溶阻止因子PAIの上昇は軽度にとどまります。そのために血栓は溶解されやすく、Dダイマーは明らかに上昇します。出血症状としての血尿は高頻度に見られましたが、肝腎障害はほとんど見られませんでした。この点、臨床の線溶亢進型DIC(旧名称:線溶優位型DIC)〜線溶均衡型DICに類似した病態と考えられます。
DICの本態は全身性持続性の著明な凝固活性化状態です。確かにこの点は全DICに共通した病態ですが、それ以外ではむしろ相違点が大変多いと言えます。このことは、DICの診断の上でも留意すべきと考えられますし、最終的には最も適切なDIC治療法が異なるという方向へ向かっていくものと考えられます。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:56| 播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解) | コメント(0) | トラックバック(0)