金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2008年12月18日

ノボセブン(遺伝子組換え活性型第VII因子製剤):究極の止血剤。

遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(recombinant factor FVIIa:rFVIIa)(商品名:ノボセブン)をご存知でしょうか。

保険適応は、血友病A&Bにインヒビターが出現した場合の止血管理用、および後天性血血友病のみです。

しかし、ノボセブンは上記の出血以外にも、脳出血(上記疾患とは無関係です。以下同様)、外傷時出血、吐血&下血、血小板数または機能低下時の出血、出産時大出血、心臓手術に伴う出血など多くの出血に対して有効ではないかと期待されています。播種性血管内凝固症候群(DIC)の出血に対して有効という報告(論文抄録)まであります。また、世界的な戦闘地域で、負傷時の止血目的に使用されているという話を耳にしたこともあります。

実際、Pub Medなどで、rFVIIaを検索しますと、本来の血友病インヒビター後天性血友病の保険適応のある使用の論文よりも、適応外使用の論文の方が多いかも知れません(世界的に適応外使用が数多く行われているのが現状です)。

そのため、適応外使用は慎重に行うべきだという警鐘をならす論文がJAMAに報告(論文抄録)されたほどです。換言しますと、その位、ノボセブンは劇的に効くので愛用する人は多いということではないかと思います。

一度使用経験のある人はあまりに有効であるために、一発でノボセブンのファンになるようです。早く、現在の保険適応の疾患以外にも多くの出血性疾患に使用できるようになって欲しいものです。

なお、現在、ノボセブンの改良型の開発中のようです。より効果の強いアナログ、半減期のより長い改良型が開発中です。将来が大変楽しみです。

 

(補足) この度、この記事に対して貴重なコメントをいただきました。誤解がないように補足させていただきます。

脳出血に関してましては、rFVIIaは予後や機能障害を改善しなかったというN Engl J Medの報告があります。N Engl J Med. 2008 May 15;358(20):2127-37.

ただし、登録基準設定法や、投与法の工夫、あるいは効果の強いアナログ、半減期のより長い改良型ではどうかなど、まだ可能性はあるのではないかと思っています。

そのあたりを「期待されています」と表現させていただきましたが、誤解を与えてしまう表現だったかも知れません。ここで、補足させていただきます。

また、コメントいただいた方に感謝いたします。

 

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 10:09| 出血性疾患 | コメント(2) | トラックバック(0)

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◆この記事へのコメント:

rFVIIa(ノボセブン)は脳出血に対するPhase IIIで有効性(予後の改善)が認められず,適応拡大を断念したのではなかったでしたっけ? (N Engl J Med. 2008 May 15;358(20):2127-37).

投稿者:ノボセブン: at 2008/12/17 22:29

この度は、貴重なコメントをいただきありがとうございます。
また、昨日の記事にすぐコメントを入れていただき、多少驚きました。毎日、御覧いただいているのでしょうか、ありがとうございます。

さて、ご指摘の論文は私もよく承知いたしております。ただし、登録基準設定の工夫や投与方法の工夫によっては、将来可能性があるのではないかと思っています。

あるいは、アナログ製剤や半減期の長い製剤ではどうかという期待もあります。

そのあたり踏まえてを「期待されています」と書かせていただきましたが、確かに誤解を与えてしまう表現かも知れません。補足で記事を追加しておきたいと思います。

この度は貴重なコメントをいただき誠にありがとうございました。

今後とも何かございましたら、コメント頂けますと大変嬉しいです。

取り急ぎ、御礼まで。

投稿者:血液内科・呼吸器内科: at 2008/12/18 09:57

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