2009年01月03日
播種性血管内凝固症候群(DIC):基礎疾患とFDP、Dダイマー(図解29)
前回の記事では、各種基礎疾患(APL、APL以外の急性白血病、固形癌、敗血症)におけるFDPのみのデータでしたが、今回は前回のFDPのデータにDダイマー(D-dimer:DD)の成績を重ねてみました。
上図では、2つのことを強調したいと思います。
1)おおよそ、FDPが高値であれば、Dダイマーも高値であること。
2)急性前骨髄球性白血病(APL:M3)症例では、FDPとDダイマーの間に解離現象がみられること。
2)については以下のように理解されます。
FDPと言うのは、既に記事にさせていただいた通り、フィブリン分解産物(その細小単位がDダイマー)と、フィブリノゲン分解産物の総和です。
APLのように著しい線溶活性化を伴ったDIC(線溶亢進型DIC)では、フィブリン分解にとどまらず、フィブリノゲン分解も進行します。すなわち、線溶亢進型DICでは、Fibrinogenolysis(フィブリノゲン分解)が進行する点が大きな特徴です。
そのためAPLでは、FDP(フィブリン分解産物+フィブリノゲン分解産物)は著増しますが、Dダイマー(フィブリン分解産物の細小単位)は上昇はするもののFDPほどではありません。
このような現象を、FDPとDダイマーの解離現象と言います。
換言しますと、FDPとDダイマーの間に解離現象があった場合(FDPが上昇していることが大前提)には、著しい線溶活性化がある(フィブリノゲンの分解も進行している)ものと考えられるのです。
なお、同じDICであっても、敗血症に合併したDICにおいては、FDP、Dダイマーの上昇が、白血病や固形癌ほどではないことも大変注目されます。
(続く)
以下で、DIC関連記事とリンクしています。
播種性血管内凝固症候群(DIC)【図説】へ(シリーズ進行中)
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:13| 播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解) | コメント(0) | トラックバック(0)