金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2009年01月13日

オステオカルシン(ビタミンK依存性蛋白)とグラケー

 前回の記事(ビタミンK依存性蛋白:凝固因子、プロテインC、電撃性紫斑病)からの続編です。

もう一つ是非知っておきたいビタミンK依存性蛋白として、オステオカルシンを挙げることができます。
ビタミンK依存性蛋白として、凝固第VII, IX, X, II因子、プロテインC、プロテインS、そしてオステオカルシンを把握しておきたいところです。

骨粗鬆症のお薬の中に、ビタミンK製剤(商品名:グラケー)がありますが、ビタミンK依存性蛋白であるオステオカルシンなどに着目して開発された薬物です。

歴史的には、ウサギの骨折がビタミンKの投与により治癒しやすくなるといった報告や、妊婦に対するワルファリン(商品名:ワーファリン)の投与により奇形児(骨・軟骨形成不全)が生まれるという報告はみられましたが、骨とビタミンKとの関連を直接結びつけたものとして、1975年にHauschkaらによる骨中Gla(γ-カルボキシグルタミン酸)の発見が挙げられます。

Priceらによって、1976年には骨よりbone Gla protein(BGP:オステオカルシンともいう)が精製され、1983年にはmatrix Gla protein(MGP)も精製されました。

ビタミンKは,活性を有していないビタミンK依存性蛋白内のグルタミン酸残基(Glu)を,活性のあるγ-カルボキシグルタミン酸(Gla)へ転換するカルボキシル化反応(この反応にγ-グルタミン酸カルボキシラーゼが関与)において、補酵素として作用しています。ですから、ビタミンK欠乏状態では、このカルボキシル化反応が進まず、ビタミンK依存性蛋白は活性を有することができないのです。

Glaは血液凝固と関連した蛋白(第VII,IX,X,II因子、プロテインC、プロテインS)以外にも、骨、腎、肺、精子、大動脈弁などにも広く分布しています。ビタミンKは生体の広範囲において重要な役割を果たしているものと考えられているのです。

 

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 04:48| 医学全般 | コメント(0) | トラックバック(0)

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