女性医師の役割:女性医師の時代の足音(2)
シリーズ『女性医師の時代の足音が聞こえますか』の2回目の記事です。
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女性医師の時代の足音が聞こえますか(2)
世界的に見ても近年の女性医師の急増は著しく、2004年の厚生労働省の調査では、全医師数に占める女性医師の割合はポーランドの54.2%(執筆当時の統計:以下同じ)をトップに、フィンランドやポルトガルでは40-50%、イギリス、フランス、ドイツ、イタリアなどでは35%以上、アメリカでは21.8%となっています。
わが国の現在の女性医師の割合は16.7%に留まっていますが、医師国家試験合格者における女性の割合が30%を越してから久しく、今後近い将来に新卒医師の約半数を女性医師が占め、いずれ欧米並みに女性医師が増えると予測されています。
また単に医師数だけでなく、2050年頃には医師の若い年代層を女性医師が占め、高齢者層を男性医師が占めるとも予測されており、女性医師がこれからの医療の大きな担い手になるのは間違いないでしょう。
しかし現在のところわが国では、免許取得後10年間に女性医師の就業率は急速に減少し、2006年の厚生労働省の発表では70%台に落ち込むとされています。
出産・育児を経て仕事との両立が困難であるのが主な原因であることは、全国的な調査で明らかになっています。この医師としての最初の10年間は、医療技術の習得と重なる30歳台の医師は、医育機関や第一線の医療機関で昼夜問わず激務をこなさなければなりません。
既に女性医師の割合の高い東欧諸国では、この年代の女性医師の就業率がほとんど低下しない国も数多く、日本とは異なる保育環境や職場環境などが整備されているのでしょう。このような先進諸国でも1970年台には、変化や整備に伴い、女性が働く国ほど子供が生まれているという調査結果がでているそうです。
わが国でも、女性にとって子供を生み育てるという素晴らしくも楽しい一時期を、仕事と無理なく両立できるという欲張りな願いがかなえば、少子化にも少し歯止めがかかるのかもしれません。
(続く)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:48| 女性医師(当科)からのメッセージ | コメント(0) | トラックバック(0)