2009年01月22日
播種性血管内凝固症候群(DIC):FDP(Dダイマー)低値の別の意味(図解34)
前回の記事からの続きです。FDP(Dダイマー)が上昇しない時というのはどういう場合でしょうか?
一つは、前回書かせていただいたように、凝固活性化が高度ではなく、血栓形成量が乏しい場合です(この場合は、生体にとっては好都合です)(FDP(Dダイマー)低値の意味(図解33))。
しかし、FDP(Dダイマー)が上昇しないという現象は、全く別の状況でも発生するのです。
つまり、上図のように大量の組織因子(tissue factor:TF)が誘導され、高度な凝固活性化の結果として大量の血栓が形成された場合です。前回の記事とはまるで正反対の病態になります。
大量の血栓が形成されたとしましても、線溶阻止因子PAI(plasminogen activator inhibitor:プラスミノゲンアクチベータインヒビター)の過剰な発現がありますと、線溶に強い抑制がかかります。そのために、プラスミンはあまり産生されず、血栓の溶解が進行しにくくなります。
血栓が大量に形成されても(生体にとっては不都合な状態です)、線溶が抑制された状態では、FDPやDダイマーはあまり上昇しないのです。
と言う事は、FDPやDダイマーが上昇しない意義としましては。。。。 (続く)
以下で、DIC関連記事とリンクしています。
播種性血管内凝固症候群(DIC)【図説】へ(シリーズ進行中!!)
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:14| 播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解) | コメント(0) | トラックバック(0)