金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2009年01月23日

ビタミンK欠乏と骨粗鬆症(納豆)


従来、ビタミンK欠乏症(血中のビタミンK濃度が低下している症例)においては、骨粗鬆症に伴う骨折が多いことが指摘されてきました。

この理由としては、ビタミンK欠乏のため、γ-カルボキシラーゼによるオステオカルシン(オステオカルシン(ビタミンK依存性蛋白)とグラケー)のGla化が行われない(オステオカルシンが活性化されない)ことが指摘されてきました。


また、血中低カルボキシル化オステオカルシン濃度高値群(オステオカルシンの活性化が不十分の群)では、大腿骨頸部の骨密度が低く、骨折しやすくなるという報告も見られます。

さらに、38〜63歳の女性約7万人を対象にビタミンK摂取量と大腿骨頸部骨折発症との関連を10年間にわたり追跡した大規模な検討によりますと、ビタミンKの摂取量不足は大腿骨頸部骨折の有意な危険因子であると報告されています。

 

ビタミンKと言いますと、ビタミンK依存性凝固因子(VII、IX、X、II)のイメージが強いですが、骨との関連も高いビタミンなのです。



(補足1)

興味深い報告があります。納豆(ビタミンKの含有量が極めて多い食品)摂取量の多い地域では、大腿骨頸部骨折が少なく、納豆摂取量が少ない地域では大腿骨頸部骨折が多いそうです。

納豆消費量は、西日本で少なく東日本で多いそうですが、大腿骨頸部骨折は西日本で多く東日本で少ないそうです。

 

(補足2)

ワーファリン(ビタミンK拮抗薬)を内服している方は、納豆(ビタミンK含有量が大量)を食することはできません。ワーファリンの効果が無くなってしまうためです。

ただし、ワーファリン以外の抗血栓薬(アスピリン、プラビックス、パナルジン、プロサイリン、ドルナー、プレタールなど)を内服中の方は、納豆を食しても何ら問題ありません。

 

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:39| 医学全般 | コメント(0) | トラックバック(0)

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