2009年02月01日
急性GVHD:造血幹細胞移植前処置としてのATG(5)
【急性GVHDに対するpre-emptive ATG】
Bacigalupoらは、抗胸腺細胞ウサギ免疫グロブリン(商品名:サイモグロブリンTG)15 mg/kgの欠点(GVHDが減少する一方、感染症と再発が増加)を補うために、移植前処置時はTG 7.5 mg/kgにとどめ、移植後7日目または9日目にTG 1.25 mg/kgを追加投与する「急性GVHDに対するpre-emptive ATG療法」を考案しました。
急性GVHDハイリスク170例を対象に、移植7日目または9日目にpre-emptive ATGを受ける2群に割りつけて臨床研究が実施されました。
詳細はまだ明らかになっていませんが、移植7日目群の方が重症急性GVHDは低頻度でした。
同時に、ATG使用例の移植後EBウイルス関連リンパ増殖性疾患発症を予防するため、移植5日目にリツキシマブ200 mgを予防投与することが推奨されています。
これにより、EBウイルスが1,000コピーを上回る症例はわずか5%に過ぎなかったと報告しています。
(続く)
【シリーズ】造血幹細胞移植前処置としてのATG
1)背景
2)作用機序
3)GVHD予防
4)晩期効果
5)急性GVHDに対するpre-emptive ATG療法
6)臍帯血移植&GVHD
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:25| 血液疾患(汎血球減少、移植他) | コメント(0) | トラックバック(0)