概念 & β2-刺激薬の特徴:好酸球性下気道疾患(1)
【好酸球性下気道疾患の概念】
日本における慢性咳嗽の三大原因疾患は以下の通りです。
1) 咳喘息(cough variant asthma; CVA)(乾性咳嗽)
2) アトピー咳嗽(atopic cough; AC)(乾性咳嗽)
3) 副鼻腔気管支症候群(湿性咳嗽)
咳喘息とアトピー咳嗽は、誘発喀痰中に好酸球を認めることが多く、好酸球性下気道疾患に分類されます。
欧米では、喀痰中好酸球増多と正常気道過敏性を呈する疾患概念として
非喘息性好酸球性気管支炎(nonasthmatic eosinophilic bronchitis; NAEB)
が提唱されています。咳喘息、アトピー咳嗽、非喘息性好酸球性気管支炎のそれぞれについて整理してみたいと思います。
【β2-刺激薬の特徴:咳嗽との関係】
β2-刺激薬は、気管支平滑筋収縮に対しては抑制効果を発揮しますが、気道表層の咳受容体および延髄の咳中枢に対しては抑制効果を持たないことが基本的な事項になります。
ですから、気管支平滑筋収縮が関係しない咳嗽には鎮咳効果を持ちません。
咳受容体&咳中枢に対しては抑制効果のない根拠:
1)正常者および喘息患者において、酒石酸咳感受性とメサコリン気道過敏性は相関しないこと。
2)正常者において、メサコリン誘発気管支平滑筋収縮は酒石酸およびカプサイシン咳感受性を変化させないこと。
3)正常者において、β2-刺激薬吸入による気管支平滑筋の弛緩は酒石酸咳感受性を変化させないこと。
4)正常モルモットでも咳感受性亢進を伴うアレルギーモルモットでも、β2-刺激薬の全身投与はカプサイシン咳感受性を全く変化させないこと。
(続く)
【シリーズ】 好酸球性下気道疾患
2)咳喘息
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:14| 咳嗽ガイドライン | コメント(0) | トラックバック(0)