咳喘息:好酸球性下気道疾患(2)
前回記事(概念 & β2-刺激薬の特徴:好酸球性下気道疾患(1))より続きます。
なお、関連記事としまして、日本語の表はアトピー咳嗽 vs. 咳喘息:咳嗽の診断と治療(8)からご覧いただけます。
【咳喘息】Cough variant asthma(CVA)
前回記事で書かせていただいた基本事項を背景として、最初に咳喘息が報告されました。
<概念>
1979年Corraoらは、喘鳴や呼吸困難を伴わない(喘息とは診断できない)慢性咳嗽に対して、気管支拡張薬の経口投与が奏効した6症例を喘息の亜型として報告しています。
この6症例では気道過敏性が軽度亢進しており、1年半の追跡中に2名が典型的喘鳴を発症したため、喘息の前段階と認識されています。
その後、「咳喘息」と命名されましたが、欧米、本邦ともに頻度の多い原因疾患です。
<病態>
今回の記事内の2つの表(咳喘息、非喘息性好酸球性気管支炎、アトピー咳嗽の比較)に示したように、生理学的所見も病理学的所見も典型的喘息に酷似していますが、過剰な気管支平滑筋収縮が起こらず、咳嗽のみが表現型となる点が喘息とは異なります。
本疾患における咳嗽発生機序の詳細は明らかではありませんが、気管支平滑筋内の知覚神経(Aδ線維)が平滑筋の軽度収縮によって刺激されてインパルスを咳中枢へ送る機序が示唆されています。
したがって、気管支平滑筋を弛緩させる気管支拡張薬が有効な咳嗽を呈することになります。
(続く)
【シリーズ】 好酸球性下気道疾患
2)咳喘息
【関連記事】 咳嗽の診断と治療 <推薦>
1)ガイドライン
3)急性咳嗽
5)咳嗽の発症機序
7)咳喘息
10) 胃食道逆流症(GERD)
11)慢性咳嗽&ガイドライン
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:47| 咳嗽ガイドライン | コメント(0) | トラックバック(0)