アトピー咳嗽 & 非喘息性好酸球性気管支炎:好酸球性下気道疾患(3)
前回記事(咳喘息:好酸球性下気道疾患(2))より続きます。
関連記事(日本語の表あり):アトピー咳嗽 vs. 咳喘息:咳嗽の診断と治療(8)
【アトピー咳嗽】Atopic cough(AC)
<概念>
気管支拡張薬が全く無効で、ヒスタミンH1-拮抗薬とステロイド薬が有効な乾性咳嗽を呈する疾患概念として、1989年に、当科(金沢大学 血液内科・呼吸器内科)の 藤村らが提唱した疾患概念です。
「アトピー素因」とは、過去、現在または未来に、アレルギー疾患を発症した、発症している、または発症する可能性のある素因を意味しており、IgE抗体産生を意味する狭義の意味ではありません。
<病態>
前回記事(咳喘息:好酸球性下気道疾患(2))の表に示したように、咳感受性亢進を呈する好酸球性気管・気管支炎が基本病態です。咳感受性とは気道表層の知覚神経(C-線維かAδ-線維かの同定は不明)の過敏性を言います。末梢気道に好酸球性炎症を認めないのが咳喘息と大きく異なる病態です。
【非喘息性好酸球性気管支炎】nonasthmatic eosinophilic bronchitis(NAEB)
<概念>
1989年、Gibson PGらが「病理学的には喘息と同様に朝の喀痰中に好酸球増加がみられるのに、生理学的には喘息とは異なり気道過敏性が亢進していない病態」の発見に対して使用した言葉です。
最初から疾患概念として提唱した訳ではなく、好酸球性気道炎症と気道過敏性亢進の関係に一石を投じたものです。以降、英国のBrightling CEが中心となってこの病態を精力的に検討しています。
<病態>
前回記事(咳喘息:好酸球性下気道疾患(2))の表に示したように、好酸球性気道炎症が喘息と同様に中枢気道から末梢気道まで存在しますが、気道過敏性は亢進していない病態です。
病理学的には咳喘息(CVA)に類似してい¥ますが、生理学的にはACに類似しています。
(続く)
【シリーズ】 好酸球性下気道疾患
2)咳喘息
【関連記事】 咳嗽の診断と治療 <推薦>
1)ガイドライン
3)急性咳嗽
5)咳嗽の発症機序
7)咳喘息
10) 胃食道逆流症(GERD)
11)慢性咳嗽&ガイドライン
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:48| 咳嗽ガイドライン | コメント(0) | トラックバック(0)