金沢大学・血液内科・呼吸器内科
※記事カテゴリからは過去の全記事をご覧いただけます。
<< 前のエントリトップページ次のエントリ >>
2009年02月15日

溶血性貧血の病型分類 :溶血性貧血(3)

溶血性貧血の診断基準(厚生労働省研究班):溶血性貧血(2)からの続きです。

 

【溶血性貧血の病型分類 】

溶血性貧血の治療方針を決定するためには、溶血性貧血の病型分類を行う必要があります。

さて、溶血性貧血の分類は以下の通りです。


-----------------------------------------------------------------------------------------------------------

溶血性貧血の分類と頻度

1 . 後天性溶血性貧血

  1) 免疫性溶血

   ・  温式抗体による自己免疫性溶血性貧血 (47%)

   ・  冷式抗体による自己免疫性溶血性貧血 (5%)
         a) 寒冷凝集素症 (4%)
         b) 発作性寒冷ヘモグロビン尿症 (1%)

   ・  不適合輸血

   ・  新生児溶血性疾患

   ・  薬剤

  2) 発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH) (25%)

  3) そのほか:外傷・微小血管障害、破砕赤血球症、感染、化学薬品・薬剤・毒、熱傷、低 リン血症、スプール細胞貧血、脾機能亢進症 など

 

2.  先天性溶血性貧血  (17%)

  1) 赤血球膜異常

  2) 赤血球酵素異常

  3) ヘモグロビン異常

  4) ポルフィリン症

-----------------------------------------------------------------------------------------------------------

 

診断と病型分類のポイントは以下の通りです。

 

溶血性貧血の約50%は温式抗体によるAIHAです。

発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)先天性溶血性貧血を加えると、全体の約90%になります。

したがって、溶血性貧血が疑われれば、まずこの3疾患を念頭に置いて病型診断を進めると良いです。

 

さて、具体的にはどのように検査を進めれば良いのでしょうか。。。(続く)
 

 

【溶血性貧血】

1)赤血球寿命

2)溶血性貧血の診断基準(厚生労働省研究班)

3)溶血性貧血の病型分類

4)自己免疫性溶血性貧血(AIHA)の診断

5)発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の診断

6)自己免疫性溶血性貧血(AIHA)の治療

7)発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の治療

8)溶血性貧血の治療(海外との比較)




【関連記事】NETセミナー

汎血球減少のマネジメント:特に骨髄不全について

造血幹細胞移植

貧血患者へのアプローチ

輸血後鉄過剰症と鉄キレート療法

血液内科に関する研修医からのQ&A

 

 

 【リンク】金沢大学血液内科・呼吸器内科関連

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ホームページ

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:57| 溶血性貧血 | コメント(0) | トラックバック(0)

◆この記事へのトラックバックURL:

http://control.bgstation.jp/util/tb.php?us_no=426&bl_id=391&et_id=28126

◆この記事へのコメント:

※必須