アンチトロンビン(ATIII):血液凝固検査入門(7)
トロンボモジュリン(TM)分布と血中濃度:血液凝固検査入門(6)から続く。
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血栓症の治療薬としてヘパリンがあります。
ヘパリンは、深部静脈血栓症、肺塞栓、心筋梗塞、播種性血管内凝固症候群(DIC)などの多くの血栓性疾患の治療薬として用いられています。
さて、血管内皮には、ヘパリン様物質が存在します。このヘパリン様物質には、アンチトロンビン(antithrombin:AT)や、組織因子経路インヒビター(tissue factor pathway inhibitor:TFPI)が結合しています。ですから、血管内皮は、ATやTFPIによって、血栓ができないように、がっちりと保護されていることになります。
ATは肝臓で産生されて血中に放出された後に、血管内皮のヘパリン様物質に結合することになります。一方、TFPIは血管相皮で産生された後に、ヘパリン様物質に結合することになります。
なお、ATは流血中にも存在しますし、上記のように血管内皮上にも存在しています。
さて、流血中のATと、血管内皮に結合したATとでは、どちらが重要な意義を有しているのでしょうか。もちろんどちらも重要だと思いますが、おそらく血管内皮に結合したATの方が重要な役割を果たしているのではないかと思います。
なぜなら、ATはヘパリン(様物質)に結合することによって、活性が飛躍的にアップするからです。
血液凝固検査として、AT活性の測定が行われていますが、もちろんこの測定意義は大きいと思いますが、本当は血管内皮に結合しているAT量を評価する簡便な方法があればなお良いのではないと思っているところです。
(捕捉)
なお、アンチトロンビン(AT)は、以前はアンチトロンビンIII(ATIII)と言われていました。昔は、アンチトロンビンI、II、III。。。。とあったのですが、III以外は全て淘汰されまいました。ですから、敢えてIIIをつける必要がないということで、現在は単にアンチトロンビン(AT)という言い方が主流になっています。
(続く)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:27| 凝固検査 | コメント(0) | トラックバック(0)