2009年03月17日
PT-INRとPIVKA-II:血液凝固検査入門(19)
PT-INRとワーファリン:血液凝固検査入門(18)から続く。
前回の記事でも書かせていただいたように、ビタミンK欠乏状態(後天性出血性素因の一つ)で最初に低下する凝固因子は、第VII因子です。ですから、ビタミンK欠乏症のスクリーニング検査は、APTTではなく、プロトロンビン時間(PT:PT-INRも同義)です。
PTの延長でビタミンK欠乏症が疑われた場合には、次にPIVKA-IIを測定して陽性であることを確認します。PIVKA-IIは、protein induced by vitamin K absence-IIの略称です。文字通り、ビタミンK欠乏状態で誘導される蛋白であるプロトロンビン(II)です。
ただし、注意が必要です。PIVKA-IIは、ビタミンK欠乏状態でも血中に出現しますが、肝細胞癌の腫瘍マーカーとしても知られています。
また、逆の意味での注意も必要です。ワーファリン内服中の場合には、PIVKA-IIは著増しますが、もちろんこれは肝細胞癌の存在を意味する訳ではありません。もっとも、ワーファリン内服中の患者さんでPIVKA-IIを測定すること自体ナンセンスですが。。。
また、ビタミンK欠乏症の診断は、しばしば治療診断が有効です。ビタミンKを補充することにより(通常は経静脈的に投与)、延長していたPTが、半日程度で速やかに是正されます。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 03:33| 凝固検査 | コメント(0) | トラックバック(0)