金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2009年04月07日

心房細動とF1+2(アスピリン vs. ワーファリン):血液凝固検査入門(34)

心房細動と凝固活性化マーカー:血液凝固検査入門(33)から続く。

 

血液凝固検査34

 

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心房細動(atrial fibrillation:Af)の患者さんに対する抗血栓療法は、 ワルファリン(商品名:ワーファリン)による抗凝固療法が適切と言うのは、現在では常識のように知られています。ただし、この認識は昔から確立していたわけではありません。

実際、一つ前のバージョンの治療ガイドラインでは、心房細動に対する抗血栓療法として、アスピリンによる抗血小板療法も今以上の比重がありました。

さて、今回も以前の報告ではありますが、重要な報告を紹介させていただきます。

上図は、心房細動の患者さんに、アスピリンやワーファリンを投与すると凝固活性化状態はどのように変化するかをみた報告です。この報告がなされた時の、プロトロンビンフラグメント1+2(F1+2)の正常値は、0.4〜0.8 nM位です(現在の測定キットでの正常値は、50〜170 pM位です)。

Controlと言うのは、抗血栓療法を行っていない心房細動の患者さんの成績です。F1+2の明らかな上昇がみられており、凝固活性化状態にあることがわかります。

Aspirin(アスピリン)を投与するとどうでしょうか。Controlと比較しましてもF1+2の値に変化は見られません。これは、心房細動の凝固活性化状態に対して、アスピリンは無効であることを血液検査で証明していることになります。

一方、Warfarin(ワーファリン)を投与するとどうでしょうか。Controlと比較しますと、F1+2が明らかに低下しています(正常値レベルまで是正されています)。これは、心房細動の凝固活性化状態を、ワーファリンがしっかり是正していることを血液検査で証明していることになります。

このような血液検査からも、心房細動の凝固活性化状態は、アスピリンではなくワーファリンでコントロールされることが分かります。

 
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 20:36| 凝固検査 | コメント(0) | トラックバック(0)

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