節外性NK/T細胞リンパ腫、Macroglobulinemia:悪性リンパ腫アカデミー(2)
悪性リンパ腫(2009 Malignant Lymphoma Academy)の続編です。
前回記事:マントル細胞リンパ腫、FDG-PET:悪性リンパ腫アカデミー (1)
節外性NK/T細胞リンパ腫(NKTCL)の治療について(Dr. Kim:Sungkyunkwan Univのレクチャー)
● 疫学:アジアでは、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)、NK/T細胞リンパ腫の中で疾患頻度は、非特異型(PTCL-NOS)、成人T細胞性白血病/リンパ腫 (ATLL)、節外性NK/T細胞リンパ腫(NKTCL)がそれぞれほぼ1/4ずつ(International T-Cell Lymphoma Project)。
● 至適な化学療法
1. stage I/II
放射射線治療と DeVIC(CBDCA, ETP, IFM, DEXA)療法との同時併用療法、放射射線治療と VIPD(CDDP, ETP, IFM, DEXA)療法との同時併用療法の有用性が期待される。
2. 進行期
進行期、再発例では、骨髄抑制など治療関連毒性の検討が必要であるが、SMILE療法の有効性が期待される(Yamaguchi M et al. Cancer Sci 2008; 99: 1016-1020)。
bortezomibを併用したCHOP療法(Bor-CHOP)は、進行期PTCLに有効であるが、NKTCLには効果が期待できない。
campathは効果が期待できない
● 移植の有用性
自家移植のもっともいい適応は、NKPIが高く(NKPIが2点以上)、移植時寛解である例(後方視的検討。Lee J et al. Biol Blood Marrow Transplant. 2008; 14:1356-1364)。
NKPI;B症状、CS III以上, LDH 高値、所属リンパ節病変
● 中枢神経再発
中枢神経再発の頻度は、節外性NK/T細胞リンパ腫の0-6%。
CSIII以上、リンパ節病変を有する例、NKPI>2点では中枢神経再発予防を考慮すべき。
Waldenstroem’s Macroglobulinemia(WM)の治療について(Dr. Shah(MDACC)のレクチャー)
● MDACCでは、1991年以降初発のWM患者に対してはクラドリビン(2-CdA)を用いた治療を行って生存率を改善している。
<レジメン>
・ 2-CdA+CY、6週間あけて2コース
8時間毎に2-CdA 1.5mg/m2を皮下注射、7日間(2-CdA 1.5mg/m2 q8hr SC x7d)+Cyclophosphamide 40mg/m2を1日3回内服、7日間(Cyclophosphamide 40mg/m2 b.i.d po x7d)
・ 2-CdA+CY+R、6週間あけて2コース
8時間毎に2-CdA 1.5mg/m2を皮下注射、7日間(2-CdA 1.5mg/m2 q8hr SC x7d)+Cyclophosphamide 40mg/m2を1日3回内服、7日間(Cyclophosphamide 40mg/m2 b.i.d po x7d)+Rituximab 375 mg/m2点滴を週1回、4週間(Rituximab 375 mg/m2 IV qwkx4w)
2-CdA+CY群と2-CdA+CY+R群では奏効率はほぼ同等も(83% vs 95%)、奏効期間は2-CdA+CY+R群で優れる(23ヶ月 vs 59ヶ月)。
それぞれの血液毒性は、好中球<1000:68%、71%、好中球<500:41%、18%、血小板数<50000 :16%、0%、感染症:43%、35%。
2コース終了後もMタンパクが漸減すること、再発後の再投与でも78%が奏効し、初回治療と同等の奏効期間が期待出来ることが特徴。アルキル化剤併用療法より優れる。Flu+R、Dex+CY+Rなどと比較しても優れた臨床効果。
初発時血球減少を認めない例がいい適応だが、プリンアナログで治療されたWMではt-MDS/AML、DLBCL発症頻度が高いことが最近報告されており、今後長期的な評価が必要か(Leleu X et al. J Clin Oncol 27:250-255)。
血球減少を認める例のfront lineとしてはInternational Workshopの推奨治療のとおりアルキル化剤、プリンアナログ、Rituximabの単剤療法か(Treon S et al.2006 107: 3442-3446)。
● IgM surgeは、Rituximab以外に、2-CdA 、Fludarabineであっても初回治療の100日以内にみられる。治療前paraproteinの多い例では、末梢神経障害増悪や過粘稠症候群等の予防に血漿交換を考慮。
● Auto-PBSCTの有用性についてはエビデンスが乏しいが、MDACCでは今後auto-PBSCTの有用性を検討するため、auto-PBSCT可能と判断された初発WM例では、2-CdA+CY+R 療法前に、Bortezomib+Rituximabによる寛解導入療法2-3クール行い、奏効例ではその後PBSCHしておく試みがすすめられている(Bortezomib+Rituximabに奏効しなかった例ではさらにR-hyper-CVADを追加してPBSCHを試みる)。
● これまでもWMの予後因子の報告があるが、新たなinternational scoring system for WM (ISSWM) の紹介(Morel et al. Blood 2009)。
予後因子
年齢>65歳、Hb <11.5 g/dl、plts <10万、β2MG >3mg/l、IgM > 7g/dl
The new international prognostic system for symptomatic Waldenstroem Macroglobulinemia requiring therapy
Stratum | Score | 患者総数(%) | Failed | median survival | Percent(※) | Hazard ratio |
Low | 0 or 1(年齢除く) | 155(27) | 38 | 142.5 | 120.3-195.7 | 1 |
Intermediate | age or 2 | 216(38) | 87 | 98.6 | 81.7-137.2 | 2.36 |
High | ≧3 | 203(35) | 134 | 43.5 | 36.6-55.1 | 6.61 |
Percent(※):0.95LCL(lower confidence limit)ー0.95UCL(upper confidence limit)
(続く)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:46| 血液内科(標本) | コメント(0) | トラックバック(0)