金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2009年04月22日

PT-INR、APTTと抗凝固療法:血液凝固検査入門(38)

INR&F1+2と副作用&効果判定:血液凝固検査入門(37)から続く。

血液凝固検査38

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抗凝固療法と言えば、経口抗凝固療法治療薬であるワルファリン(商品名:ワーファリン)を連想すると思いますが、厳密に言いますと、以下のように2大別できます。

 

【抗凝固療法】(治療薬)

1)    経口薬

ワーファリン:経口可能な抗凝固薬は今だにワーファリンのみです。抗血小板薬は、アスピリン(商品名:バイアスピリン、バファリンなど)、チクロピジン(パナルジン)、クロピドグレル(プラビックス)、シロスタゾール(プレタール)、ベラプロスト(プロサイリン、ドルナー)、サルポグレラート(アンプラーグ)など多数あるのですが。。。。


2)    注射薬

・ ヘパリン類:ダナパロイド(オルガラン)、低分子ヘパリン(フラグミン、クレキサンなど)、未分画ヘパリン(標準ヘパリン)、フォンダパリヌクス(アリクストラ
アルガトロバン(スロンノン、ノバスタン)
メシル酸ナファモスタット(FUTなど)、メシル酸ガベキサート(FOYなど)
・ アンチトロンビン濃縮製剤(アンスロビンP、ノイアート、ノンスロン)
遺伝子組換えトロンボモジュリン製剤(リコモジュリン)
・ 活性化プロテインC製剤(アナクトC)

 

 

さて、これらの薬剤のモニタリングはどうすれば良いのでしょうか。

前回の記事(INR&F1+2と副作用&効果判定:血液凝固検査入門(37))でも書かせていただいたように、管理人らは、ワーファリンの効果判定はプロトロンビンフラグメント1+2(prothrombin fragment 1+2:F1+2)、副作用チェックは、PT-INR(またはトロンボテスト)で行うべきであろうと考えています。

それでは、ヘパリン類についてはどうでしょうか。

欧米の教科書では、未分画ヘパリンを投与する場合には、APTTを1.5倍に延長させるようにとか、APTTを2倍に延長させるようにと言った記載があります。

しかし、APTTを延長させたということは、未分画ヘパリンが投与されているという証拠かもしれませんが、効果が発揮されているかどうかは、話は別ではないかと思っています。

APTTが延長しすぎているという事は、出血の副作用が生じ易い状況にあるため、要注意というサインととるべきではないでしょうか。

 

実際、低分子ヘパリンや、ダナパロイドと言った、「改良型のヘパリン」類は、APTTをあまり延長させないために出血の副作用が少ないことをウリにしています(APTTが延長しなくても効果は未分画ヘパリンと同等以上です)。

 


ヘパリン類の効果判定は、FDPDダイマーTATなどで行うべきではないでしょうか。

 


ただし、このあたりの考え方は、専門家の間でも意見が分かれるのではないかと思います。10年後、20年後、更に言いますと、100年後、1,000年後にはどのような考え方になっているのか、タイムマシンにのって、答えを見に行きたいところです。

 
 
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:52| 凝固検査 | コメント(0) | トラックバック(0)

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