金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2009年05月14日

肺疾患(間質性肺炎):金沢大学 呼吸器研究室グループ紹介(2)

気道疾患:金沢大学 呼吸器研究室グループ紹介(1)から続く


金沢大学血液内科・呼吸器内科(第三内科)の呼吸器研究グループの研究室紹介の2回目です。

今回は、肺疾患グループです。特に、間質性肺炎の診療と臨床研究・基礎研究に精力的に取り組んでいます。肺疾患グループは、安井正英先生(現:金沢市立病院呼吸器内科)が長年にわたり引率してこられましたが、現在は若手新進気鋭の先生方がバトンを受けて一生懸命頑張っています。

間質性肺炎は、その一病型が膠原病とも関連の深い疾患ですので、他臓器の内科や、皮膚科(強皮症関連)など、多くの診療科とのコミュニケーションが多いのが特徴ではないかと思います。




<肺疾患グループ>


間質性肺炎の領域は、病型の多様性(IPF,NSIP, COP, EP, DIPなど)のため、それぞれの病態毎の機序や原因の解明がなかなか進まないのが現状です。

抗アミノアシルtRNA合成酵素(ARS)抗体に注目し、間質性肺炎の病型との関連を検討してきましたが、非特異的間質性肺炎(NSIP)との関連が示唆されています。長年、乾性咳嗽は間質性肺炎の症状の一つだと信じられてきました。数年来、それぞれの病型の間質性肺炎患者の咳嗽について、その原因疾患を追求してきました(一般常識に対する挑戦的研究)。その結果、大部分が慢性咳嗽の原因疾患による咳嗽であることが判明しました。すなわち、間質性肺炎を治療できなくても、咳嗽を軽快させることは可能となった訳です。


基礎的研究では、ブレオマイシン肺線維症モデルに対するAT1およびAT2受容体拮抗薬の影響を検討し、AT1受容体拮抗薬は増殖因子の抑制を介して肺の線維化を抑制し、AT2受容体拮抗薬は炎症の抑制を介して線維化を抑制することを明らかにしました(早稲田)。

また、シリカ肺線維症モデルにおけるアルドステロンの役割に関する研究では、肺内アルドステロンが初期に増加し、スピロノラクトンがTNFα,TGFβの抑制を介して肺の線維化を抑制することを示しました(市川)。

肺の線維化におけるキマーゼの役割についての研究では、キマーゼが好中球性炎症を惹起し、TGFβを介して肺の線維化に関与していることを明らかにしました(高戸)。

さらに、「アンジオテンシン受容体拮抗薬の肺線維化抑制作用におけるACE2及びAng1-7の関与」について精力的に実験を進めています(犬塚)。

 
(続く)

肺癌(肺がん):金沢大学 呼吸器研究室グループ紹介(3)





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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:58| 呼吸器内科