先天性凝固異常症 & 大動脈瘤:金沢大学 血栓止血研究室グループ紹介(3)
DIC&APSの病態・治療:金沢大学 血栓止血研究室グループ紹介(2)から続く
金沢大学 血液内科・呼吸器内科(第三内科)研究室紹介は、以下からもご覧いただけます。
1) 血液・移植研究グループ紹介
2) 呼吸器研究室グループ紹介
<血栓止血研究室>(3)
【先天性凝固異常症】
先天性凝固異常症の分子病態に関する研究としては、凝固因子および凝固阻止因子の分子異常について幅広く研究しています。今までにプロトロンビン異常症、第 VII・X・XI・XII因子・プレカリクレインなどの凝固因子欠損症の解析、またプロテインC&S・アンチトロンビンなど の凝固阻止因子欠損症の解析を行なっており、世界でも報告のない新たな変異部位を次々と明らかにしました。現在では、全国各地から様々な欠損症の解析を依 頼されています。
<関連記事>
・先天性血栓性素因と病態:アンチトロンビン・プロテインC&S欠損症
・抗リン脂質抗体症候群(インデックスページ)
【HMG-CoA還元酵素阻害剤】
動脈硬化と血栓症に関する研究としては、最近は、高コレステロール治療薬であるHMG-CoA還元酵素阻害剤(スタチン)のpleiotropic effectとしての凝固線溶系への効果を意欲的に研究しており、スタチンが単球、血管内皮細胞における組織因子や線溶阻止因子であるPAI-1の発現を down-regulateし、一方で凝固阻止因子であるTFPIの発現をup-regulateし、血栓形成阻害効果をもたらす可能性を明らかにしまし た。
【大動脈瘤とアネキシンII】
また新たな研究の方向性として、大動脈瘤に合併するDICの病態に迫るべく大動脈瘤のラット動物モデルを作成し、線溶作用を有するアネキシンIIが高発現 していることを免疫組織学的染色およびreal-time RT-PCR法を用いて明らかにしました。最近、大動脈瘤壁組織の免疫組織学的検討においてア ネキシンIIが濃染することを明らかにし、瘤形成における線溶系の関与を示唆しました。
Hayashi T, et al: Expression of annexin II in human atherosclerotic abdominal aortic aneurysms. Thromb Res. 2008;123(2):274-80.
(続く)
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<関連記事>
・播種性血管内凝固症候群(DIC):インデックスページ(図解シリーズ)
・抗血栓療法、抗血小板療法、抗凝固療法(アスピリン、ワーファリン)
・ヘパリン類 : フラグミン、クレキサン、オルガラン、アリクストラ
【リンク】
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:38| 血栓止血(血管診療)