金沢大学病院での研修〜外勤〜:後期研修医の独り言(3)
金沢大学病院での研修〜この4カ月間〜:後期研修医の独り言(2)から続く
【金沢大学病院での研修と外勤】
第1弾(後期研修医の独り言(1))の時に予告した外勤の事を少し書こうかと思います。
大学病院の医師は朝から晩まで大学病院にいると思われる方も多いと思いますがそうとは限りません。
外勤といって外病院(=関連病院)に行って診療する事があります。
これは関連病院からの要請にこたえ、言わば地域医療を担うという側面と、医師個人の立場で言えば、それによって収入を得るという言い方もできます。言わばお互いの需要と供給に基づいて行われているわけです。
具体的には、今僕は週1回午後人間ドックでの健康診断と、週1回午後は地域の老人施設(特別養護老人ホーム)を訪問しています。
人間ドックでは患者さんの診察や、検査結果に対するコメントをしたり、また生活指導をしたりしています。特別養護老人ホームでは体調の悪い方の診察をしたり、病院受診が必要な方には紹介状を作成して、地域の病院と連携をとったりしています。6月には衛生講座という、食中毒予防の講演会を大勢の聴衆の前でした事もありました。
これまでに特別養護老人ホームで経験した印象的な症例を2つ紹介させていただこうと思います。
息切れを主訴に来た70台男性。
聴診で心尖部に雑音を聴取。
採血を行った所Hb 7台、MCVが70台でした。
病院ではありませんので鉄やフェリチンなどを測ることはできません。
症状・病歴・検査所見から鉄欠乏性貧血と診断して鉄剤を処方。
一ヵ月後には自覚症状、Hb、MCVともに劇的に改善。
「先生、息切れよくなったわ」と言われた時はに医者冥利につきると思いました。
また原因不明の足のしびれに悩まされていた70台女性。
診察上末梢神経障害パターンと診断しビタミン剤を処方。
一週間後には「しびれがなくなったわ」と感激している姿をみたときには感激ものです(プラセボ効果を含んでいるかもしれませんが・・・)。
大学病院では血液疾患の診療という先端医療に従事し、外勤先では地域医療に貢献する。
大学病院の医師はそんな2つの顔を持った存在と言えるのかもしれません。
ただし、最近巷でよく言われているように、地方の大学病院で研修する医師が減っています。
新臨床研修制度のもと「地域医療」の研修が必修化されました。
それにより起きているのは地方の大学病院で研修する医師の減少=地域医療存続の危機という結末です。
これを解決するのはやはり「後期研修は大学病院で行う」事に尽きると思います(これは進路に迷っている初期研修医・医学生向けのメッセージです)。
そしてそれが金沢大学第三内科であれば僕にとってこれ以上の喜びはありません。
少しは後期研修医の日常を感じ取って頂いたでしょうか?
(続く)
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【リンク】
研修医の広場(金沢大学第三内科) ← 当科での研修の様子をご覧いただけます。
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 08:42| 研修医の広場 | コメント(0)