金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2009年08月13日

血栓ができる病態:CBT試験問題対策(血栓止血領域)

出血傾向(鑑別・確定診断):医学コアカリ対応(7)から続く

実際に昨年出題された、CBT(コアカリ)問題から、血栓止血領域のものをピックアップして、簡単な解説を試みたいと思います。

念のためですが、CBT (Computer Based Testing) と言うのは、コンピュータを用いた多肢選択型問題の試験で、全国の医学部生が、4年から5年に進級する歳にクリアしないといけないハードルです。OSCE (Objective Structured Clinical Examination) とともに共用試験の一つです。ハードルとは言っても、普通に勉強している医学生にとっては、難なくクリアできるレベルのものです。

管理人もCBTの意義を熟知している訳ではないのですが、全く勉強をしない医学生には一度反省していただこうという意味合いではないかと思っています。

さて、問題です。医学部4年生の皆様にとっても、この程度なら大丈夫! と安心されるのではないでしょうか。


(問題)血栓ができる病態でないのはどれか。

A.    貧血
B.    心房細動
C.    血液の停滞
D.    血管内皮細胞の障害
E.    血液凝固能亢進

【正誤の理由】
 ×  A 貧血は血栓とは無関係です。多血症は血栓傾向になります。
○ B 心房細動は、脳梗塞(心原性脳塞栓)の重要な危険因子です。しばしば、ワルファリン(ビタミンK拮抗薬)による抗凝固療法が必要になります。
○ C 血液の停滞は血栓傾向の原因となります。
○ D 血管内皮細胞の障害は血栓傾向の原因となります。
○ E 血液凝固能亢進は血栓傾向の原因となります。

【確認事項】
Virchow's triadを確認しておきましょう。
静脈血栓症形成に寄与する三大要因です。
1)    血管の障害
2)    血流のうっ滞
3)    血液性状の変化

また、具体的な静脈血栓症の危険因子(代表的疾患・病態) は、以下の通りです。
1)    脱水・多血症
2)    肥満
3)    妊娠・出産(特に帝王切開出産)
4)    経口避妊薬
5)    下肢骨折・外傷
6)    手術後(特に骨盤内臓・整形外科領域)
7)    下肢麻痺、長期臥床、ロングフライト
8)    悪性腫瘍の存在
9)    心不全、ネフローゼ症候群
10)    深部静脈血栓症や肺塞栓症の既往
11)    血栓性素因:先天性アンチトロンビン欠損症、先天性プロテインC欠損症、先天性プロテインS欠損症、抗リン脂質抗体症候群など。

【正答】 A

 

(続く)

血小板減少:CBT試験問題対策(血栓止血領域)

 


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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 04:49| 医師国家試験・専門医試験対策 | コメント(0)

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