血小板減少:CBT試験問題対策(血栓止血領域)
血栓ができる病態:CBT試験問題対策(血栓止血領域)から続く
前回からの続きです。過去にCBTに出題された問題です。ただし、正確には推測出題問題ですので、全く同じ問題ではないかも知れません。ご容赦くださいませ。
45歳男性。手足の皮下出血を主訴に来院した。血小板数減少、血漿フィブリノゲン減少、FDP増加、赤沈遅延がみられる。考えられるのはどれか。
A. 血友病A
B. 血友病B
C. 特発性血小板減少性紫斑病
D. 播種性血管内凝固(症候群)<DIC>
E. 再生不良性貧血
【正誤の理由】
× A 血友病Aは、先天性第VIII因子欠損症です。伴性劣性遺伝のため男性のみ発症します(女性はキャリアー)。関節内出血、筋肉内出血などの深部出血が特徴です。APTTが延長しますが、PTや出血時間は正常です。血小板数も正常です。
× B 血友病Bは、先天性第IX因子欠損症です。あとの記載内容は、血友病Aと全く同じです。
× C 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)は、血小板数が低下しますが、フィブリノゲン、FDPは変動しません。
○ D DICは、血小板数低下、FDP上昇、フィブリノゲン低下、プロトロンビン時間延長(PT)、トロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)上昇などが重要所見です。
赤沈 は、
1)ヘマトクリット低下(貧血)
2)γグロブリン上昇
3)フィブリノゲン上昇
によって亢進します(3項目ともに炎症時にみられます)。
逆に1)2)3)が反対方向に変動すれば遅延します。
DICでは、フィブリノゲンが低下するため、赤沈が遅延するのです。
ただし現在の医学では、DICを赤沈で診断することはありません。フィブリノゲンを直接測定すれば良いためです。
× E 再生不良性貧血は、骨髄での白血球、赤血球、血小板の産生が低下した病態です。血漿フィブリノゲン減少、FDP増加の所見はありません。
【確認事項】
DICの病態・臨床検査所見
1) 基礎疾患の存在:敗血症、固形癌、急性白血病、常位胎盤早期剥離、羊水塞栓、腹部大動脈瘤など。
2) 本態は、全身性持続性の著しい凝固活性化状態です。同時進行的に線溶活性化がみられますが、その程度は種々です。線溶抑制型DIC、線溶均衡型DIC、線溶亢進型DICに分類されます(DICの病型分類)。
3) DICの二大症状は出血症状と臓器症状です。線溶抑制型DIC(敗血症に合併した場合など)では臓器症状がみられやすく、線溶亢進型DIC(急性前骨髄球性白血病に合併した場合など)では出血症状がみられやすいという特徴があります(DICの病型分類)。
4) 診断に必要な検査所見:血小板数低下、FDP上昇、Dダイマー上昇、フィブリノゲン低下、PT延長
5) 重要な検査所見:トロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)上昇、プラスミン-α2プラスミンインヒビター複合体(PIC)上昇、アンチトロンビン低下、α2プラスミンインヒビター低下。
【正答】 D
(続く)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:36| 医師国家試験・専門医試験対策 | コメント(0)