金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2009年09月09日

血液凝固検査、PT(INR)など:金沢大学血液内科試験問題より

先週行われました、金沢大学血液内科病棟実習試験の解説を続けます。

 

なお、PT(INR)関連の記事は、以下からどうぞ。

PT-INRとは(正常値、PTとの違い、ワーファリン)

 

今回紹介させていただく問題は、金沢大学血液内科の血栓止血領域の試験では、ほぼ毎回出るタイプのものです。

このタイプの問題は、血液凝固検査と疾患の関連を熟知していませんと回答できないのですが、正答率99%でした。管理人としては、もっとも正答率が高くあって欲しいと願っていましたので、大変嬉しいです。

あまり簡単すぎる問題を作らないようにとお叱りをうけそうですが、病棟実習試験問題としては決して簡単ではないと思っています。学生さんたちのがんばりに敬意を表したいと思います。

 

 

血栓止血関連マーカーの変動を示した下記の記載のうち正しいものはどれか.1つ選べ.

  出血時間 PT APTT HPT
(a)Glanzmann病 延長 正常 延長 正常
(b)単純性紫斑病 正常 正常 延長 正常
(c)von Willebrand病 延長 正常 正常 正常
(d)ビタミンK欠乏症 正常 延長 延長 正常
(e)後天性血友病 正常 正常 延長 正常


PT:プロトロンビン時間
APTT:活性化部分トロンボプラスチン時間
HPT:ヘパプラスチンテスト


解説

(a)Glanzmann病 :血小板無力症とも言います。血小板機能が低下していますので、出血時間は延長しますが、PT、APTT、HPTは正常です。

血液凝固検査入門もご参照いただければと思います。

(b)単純性紫斑病:全ての凝血学的検査が正常です。老人性紫斑病も同様です。

(c)von Willebrand病:国家試験的にも重要疾患です。出血時間、APTTが延長します。PT、HPTは正常です。von Willebrand病では、鼻出血などの粘膜出血が特徴です。

d)ビタミンK欠乏症:ビタミンK欠乏性凝固因子である、凝固第VII、IX、X、II因子活性が低下します。PT、APTTは延長し、HPTは低下します。

(e)後天性血友病:最近、何かと話題の疾患です。管理人はそろそろ国家試験に出るのではないかとの胸騒ぎがしています。この病気を知っているかどうかがほとんど全てだと思います。

後天性血友病 ←クリックいただければと思います。

 

 
正答:(e)  




凝固検査&DIC

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:11| 医師国家試験・専門医試験対策 | コメント(0)

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