金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2009年09月08日

ワーファリンとアスピリンの使い分け:金沢大学血液内科試験問題より

先週の金沢大学血液内科試験問題の解説を続けます。
今回の問題は、正答率95%でした。ちょっと簡単すぎたのかも知れませんが、問題そのものは重要問題ですので、正答率が高かったことを嬉しく思っています。


血栓止血の臨床に関する記載として正しいはどれか.1つ選べ.

(a) 深部静脈血栓症(DVT)に対する抗血栓療法としては,アスピリンが第一選択である.

(b) 閉塞性動脈硬化症(ASO)に対する抗血栓療法としては,ワルファリンが第一選択である.

(c) 心房細動症例における脳塞栓予防を目的とした抗血栓療法としては,アスピリンが第一選択である.

(d) 線溶療法を行うと血中プラスミン-α2プラスミンインヒビター複合体(PIC)が上昇する.

(e) 低分子ヘパリンはアンチトロンビン非依存性に抗凝固作用を発揮する.



解説
(a)    深部静脈血栓症(DVT)に対する抗血栓療法としては,ワルファリンが第一選択です。

PT-INRとは(正常値、PTとの違い、ワーファリン)?

(b)    閉塞性動脈硬化症(ASO)に対する抗血栓療法としては,アスピリンなどの抗血小板薬が第一選択です。ワルファリンは、効果をアップさせることなく、出血の副作用を増やすという有名なN Engl J Medの報告があります。

(c)    心房細動症例における脳塞栓予防を目的とした抗血栓療法としては,ワルファリンが第一選択です。

抗血栓療法の分類

(d)   線溶療法を行うと血中プラスミン-α2プラスミンインヒビター複合体(PIC)が上昇します。

血液凝固検査に関しては、血液凝固検査入門で分かりやすく図解で記事にしていますので、ご参考となれば幸いです。

(e)    低分子ヘパリンはアンチトロンビン依存性に抗凝固作用を発揮します。換言しますと、アンチトロンビン活性が少ない環境では、低分子ヘパリンは充分な効果を発揮いたしません。

ヘパリン類



正答:(d)

 


凝固検査&DIC

1)血液凝固検査入門

2)DIC(図解)

3)DIC(治療ほか)



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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:39| 医師国家試験・専門医試験対策 | コメント(0)

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