輸血学試験問題:金沢大学血液内科
先週の血液内科の試験問題から、今回は輸血学の領域です。以下のリンク先もご参考になるのではないかと思います。
・異型輸血と不適合輸血
・輸血後感染症頻度(HBV、HCV、HIV)
・血液内科系統講義試験(輸血学)過去問題解説
造血幹細胞移植後の移植片対宿主病(GVHD)に関する下記の記述について、正しいのはどれか。一つ選べ。
a GVHDには急性GVHDと非急性GVHDがある。
b 急性GVHDの主な標的臓器は、皮膚・腸管・眼球である。
c 急性GVHDの症状は、自己免疫疾患に似ている。
d自家造血幹細胞移植とは、患者自身の造血幹細胞を用いた移植のことである。
e GVHDの標準治療は、シクロスポリン(またはタクロリムス)・メトトレキセート併用療法である。
(答え)d
(解説)
・GVHDには急性・慢性GVHDがある。
・急性GVHDの主な標的臓器は、皮膚・腸管・肝臓である。
・慢性GVHDの症状は自己免疫疾患に似ている。
・日本造血細胞移植学会ガイドラインによると、GVHDの標準治療は、シクロスポリン(またはタクロリムス)・ステロイド併用療法である。
アルブミンの使用が適切と考えられる症例はどれか。一つ選べ。
a 脳梗塞急性期患者
b 血清アルブミン2.0 g/dLの高齢患者
c 血清アルブミン2.0 g/dLの末期癌患者
d 血清アルブミン2.0 g/dLの低栄養患者
e 血清アルブミン2.0 g/dLの肺水腫患者
(答え)e
(解説)
厚労省の「血液製剤の使用指針」によると、アルブミン投与の目的は、血漿浸透圧の維持による重度浮腫の治療である。
輸血に関して誤っているのはどれか。一つ選べ。
a 体重40 kgの患者に赤血球製剤を2単位輸血すれば、Hbは約2 g/dL上昇する。
b 輸血した血小板の約1/3は脾臓に捕捉される。
c 血小板輸血翌日に十分な血小板増加がみられない場合、血小板輸血終了1時間後の血小板数を調べる必要がある。
d 新鮮凍結血漿は融解後6時間以内に輸注する。
e 造血幹細胞移植時の輸血療法は、赤血球輸血より血小板輸血が中心となる。
(答え)d
(解説)
新鮮凍結血漿は、解凍後凝固因子活性が急激に失活するため、解凍後3時間以内に輸注し終わることが原則である。
【造血幹細胞移植後の再発】
1)治療の種類
2)免疫療法&白血病再発
3)免疫(抑制)療法
4)移植後微少残存病変(MRD)
【造血幹細胞移植前処置としてのATG】
1)背景
2)作用機序
3)GVHD予防
4)晩期効果
5)急性GVHDに対するpre-emptive ATG療法
6)臍帯血移植&GVHD
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 02:36| 医師国家試験・専門医試験対策