血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)とは:医師国家試験 問題対策
DICの治療:医師国家試験対策から続く。
医師国家試験問題対策(インデックスページ)へ ← 国試対策インデックスページの記事にリンク。
<医学部学生対象>
血液内科(血栓止血領域)(23)
血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)【重要疾患】【話題!】
Thrombotic Thrombocytopenic Purpura
<本態>
微小血管内皮障害、および血小板活性化が原因となって(注:DICは凝固活性化),微小な血小板血栓が多発し,血小板数低下に伴う出血傾向とともに,動揺する精神症状をきたす.
多発した微小血栓間を通過するため,赤血球破砕し溶血性貧血の所見もきたす.
<発症機序>近年,遂に,明らかになった!!
von Willebrand因子(vWF)切断酵素(vWF-CP)(ADAMTS13とも言う)に対する自己抗体が出現することにより,この酵素活性が著減する.
その結果,unusually large vWFが出現し,血小板凝集が進行する.
<五主徴>【完璧に記憶を!】
1.血小板数減少
2.溶血性貧血(赤血球破砕像)
3.動揺する精神症状
4.腎障害
5.発熱
<検査>【頻出】
・血小板数減少.赤血球破砕像(+)【血液像超頻出】.
・原則として凝固線溶関連マーカーは正常(FDP, D-dimerは正常).
・溶血性貧血の所見:間接ビリルビンの上昇,LDHの上昇,ハプトグロビンの低下,
・自己免疫性の溶血ではないので、クームス試験陰性.
<治療>
1. 血漿交換(plasma exchange)【ヤマ】: その3つの意味!
1)von Willebrand因子(vWF)切断酵素(= ADAMTS13)に対する自己抗体の除去
2)unusually large vWFの除去
3)von Willebrand因子(vWF)切断酵素(= ADAMTS13)を提供.
血漿交換は、最も即効性の効果が期待できる.
ただし,副腎皮質ステロイドを併用しないと一時的効果に終わることもあり.
2. 新鮮凍結血漿(FFP)輸注.
・von Willebrand因子(vWF)特異的切断酵素(= ADAMTS13)を提供.
・ただし,副腎皮質ステロイドを併用しないと一時的効果に終わることもあり.
3. 副腎皮質ステロイド:自己抗体を消失させる.
4. 濃厚血小板:絶対に禁忌!!【超重要】【ヤマ】
・濃厚血小板輸注で五主徴が明確化することあり。
Upshaw-Schulman(アップショー・シュールマン)症候群
・生後間もなく重症黄疸と血小板減少で発症。
・ いわゆる、先天性のTTP。
・先天性に、vWF-CP(ADAMTS13)が欠損しているために、TTP症状が出現。
・定期的な、FFPの輸注が大変有効。
(続く)
溶血性尿毒症症候群(HUS)&HELLP症候群へ
【関連記事】
研修医の広場(金沢大学第三内科) ← 当科での研修の様子をご覧いただくことができます。
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:05| 医師国家試験・専門医試験対策 | コメント(0)