血清ナトリウム(Na)が低値:金沢大学統合卒業試験
先日行われました金沢大学医学部統合卒業試験のうち、当科と関連のある血液内科・呼吸器内科領域の問題(今回は呼吸器内科)の紹介と解説を続けたいと思います。
設問
73歳の男性。
全身倦怠を主訴に来院した。喫煙歴30本X 50年間。喀痰細胞診で小細胞肺癌を検出した。
入院時の検査所見で血清Na値が125 mEq/Lと低値を示した。食欲はあり、下痢、嘔吐などもなかったという。発熱はない。
この病態の診断に必須なものはどれか。3つ選べ。
a 尿たんぱく定量
b 尿中浸透圧
c 尿中Na濃度
d 血漿浸透圧
e クレアチニンクリアランス
【解説】
小細胞肺癌の症例で、ADH分泌不適切症候群(SIADH)が疑われます。
悪性疾患では、摂取不足やparaneoplastic syndromeなどで低Na血症がみられることは稀ではありませんが、その鑑別には注意が必要です。
この症例では全身状態が良好で、他の疾患を疑う所見がないことから、SIADHを疑うことは容易であろうと思われます。
その診断確立のために必要な検査を列記できるような設問となっています。
【正答】b, c, d
【リンク】
慢性咳嗽の診療
非小細胞肺癌治療の最前線
肺がんに気づくサイン
研修医の広場(金沢大学第三内科) ← 当科での研修の様子をご覧いただくことができます。
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:02| 医師国家試験・専門医試験対策