肺小細胞癌:金沢大学統合卒業試験
金沢大学統合卒業試験問題のなかで、当科と関連のある血液内科、呼吸器内科領域の問題解説を続けたいと思います。
今回は、呼吸器内科です。
設問
62歳の女性。
現病歴:
2ヶ月前から乾性咳嗽が出現するようになり、近医で鎮咳薬の投与を受けたが軽快しなかった。胸部単純X線写真で異常を指摘されたため、紹介、受診した。喫煙歴は、20本40年。
特記すべき既往歴はない。
現症:
意識は清明、身長156 cm、体重45 kg、体温35.8℃、脈拍84/分、整、血圧 140/82 mmHg、心音と呼吸音に異常はない。鎖骨上窩に直径3 cmの表面平滑で硬いリンパ節を触知した。
検査所見:
尿所見:蛋白(-)、糖(-)。
血液所見:赤血球414万/µl、Hb 13.9 g/dl、血小板27.3万/µl、白血球6,900/µl。
血清生化学所見:総蛋白6.8 g/dl、アルブミン4.2 g/dl、クレアチニン0.6 mg/dl、AST 21単位(基準40以下)、ALT 15単位(基準35以下)、LDH 192単位(正常176〜353)。
入院後の喀痰細胞診検査で小細胞癌と診断されたが、遠隔転移は認めなかった。全身状態は良好である。胸部CT写真を以下に示す。
1)この症例にもっとも有用と考えられる腫瘍マーカーはどれか。
a AFP
b 可溶性IL-2受容体
c ProGRP
d CYFRA
e PSA
2)この症例の治療法として最も適切なものはどれか。
a 気管支拡張剤
b 外科治療
c 放射線治療単独
d 抗癌剤治療単独
e 抗癌剤治療・放射線治療併用
【解説】
小細胞肺癌の診療に関する設問です。
小細胞肺がんは進行の早い癌として知られていますので、早急に検査を進め治療方針を立てる必要に迫られている状態です。
必要な検査を選択できること、治療方針が立てられることを目的とした設問となっています。
【正答】
1)c
2)e
【リンク】
慢性咳嗽の診療
非小細胞肺癌治療の最前線
肺がんに気づくサイン
研修医の広場(金沢大学第三内科) ← 当科での研修の様子をご覧いただくことができます。
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:10| 医師国家試験・専門医試験対策