金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2009年11月23日

肺小細胞癌:金沢大学統合卒業試験

金沢大学統合卒業試験問題のなかで、当科と関連のある血液内科、呼吸器内科領域の問題解説を続けたいと思います。

今回は、呼吸器内科です。



設問

62歳の女性。

現病歴:
2ヶ月前から乾性咳嗽が出現するようになり、近医で鎮咳薬の投与を受けたが軽快しなかった。胸部単純X線写真で異常を指摘されたため、紹介、受診した。喫煙歴は、20本40年。
特記すべき既往歴はない。


現症:
意識は清明、身長156 cm、体重45 kg、体温35.8℃、脈拍84/分、整、血圧 140/82 mmHg、心音と呼吸音に異常はない。鎖骨上窩に直径3 cmの表面平滑で硬いリンパ節を触知した。

検査所見:

尿所見:蛋白(-)、糖(-)。
血液所見:赤血球414万/µl、Hb 13.9 g/dl、血小板27.3万/µl、白血球6,900/µl。
血清生化学所見:総蛋白6.8 g/dl、アルブミン4.2 g/dl、クレアチニン0.6 mg/dl、AST 21単位(基準40以下)、ALT 15単位(基準35以下)、LDH 192単位(正常176〜353)。

入院後の喀痰細胞診検査で小細胞癌と診断されたが、遠隔転移は認めなかった。全身状態は良好である。胸部CT写真を以下に示す。

 

肺癌1


肺癌2

 

              

1)この症例にもっとも有用と考えられる腫瘍マーカーはどれか。
       
a AFP                               
b 可溶性IL-2受容体                       
c ProGRP               
d CYFRA                               
e PSA                               


2)この症例の治療法として最も適切なものはどれか。

       
a 気管支拡張剤                   
b 外科治療                   
c 放射線治療単独           
d 抗癌剤治療単独               
e 抗癌剤治療・放射線治療併用       




【解説】

小細胞肺癌の診療に関する設問です。

小細胞肺がんは進行の早い癌として知られていますので、早急に検査を進め治療方針を立てる必要に迫られている状態です。

必要な検査を選択できること、治療方針が立てられることを目的とした設問となっています。


【正答】


1)c
2)e



【リンク】

慢性咳嗽の診療

非小細胞肺癌治療の最前線

肺がんに気づくサイン

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:10| 医師国家試験・専門医試験対策