血栓性素因診断の流れ:臨床検査からみた血栓症(2)
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【血栓性素因の診断の流れ】
後の記事で血栓性素因の診断の大まかな流れを示したいと思いますが、まずは臨床症状と詳細な問診により、血栓性素因の可能性を予測し(以下の表)、さらにスクリーニング検査の結果を総合して診断を行います。
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1. 年齢 : 40歳代以下の若年性発症か
2. 血栓症の種類 : 動脈血栓症か、静脈血栓症か
3. 発症部位 : 好発部位か、まれな部位か
4. 発症状況 : 術後、外傷後、長期臥床、ロングフライト、妊娠
5. 既往歴 : 血栓症を繰り返しているか(再発性)、習慣性胎児死亡などの既往があるか
6. 家族歴 : 若年性の血栓症があるか
7. 生活歴 : 薬剤(経口避妊薬、ホルモン補充療法)、喫煙
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先天性血栓性素因の成因は多数提唱されていますが、その意義が確立されているものはそれ程多くはありません。
実際の臨床現場では、凝固制御因子であるアンチトロンビン(AT)、プロテインC(PC)、プロテインS(PS)の活性を測定しています。
これらの因子活性が正常の50%以下に低下した場合に、先天性欠損症を疑いますが、後天性に低下する要因をできる限り除外する必要があります。
たとえば、プロテインCは、半減期の短いビタミンK依存性凝固因子であるために、肝予備能低下やビタミンK欠乏症において、容易に血中活性が低下してしまいます。
最終的に遺伝子検査まで行い確定診断をする場合もありますが、遺伝子解析については他の記事(先天性血栓性素因)を参照していただければと思います。
一方、後天性血栓性素因の代表である抗リン脂質抗体症候群(APS)の診断には、抗リン脂質抗体の検査が必須です。
その他、高ホモシステイン血症や高リポ蛋白(a)(Lp(a))血症も、血栓症との関連性が知られています。
また、悪性腫瘍患者では、静脈血栓塞栓症(VTE)(深部静脈血栓症/肺塞栓)を合併しやすく、中でも膵癌、卵巣癌、原発性肝癌、脳腫瘍などは発症頻度が高い腫瘍といわれています。したがって、血液検査のほかに内視鏡検査、画像学的検査を施行し、悪性腫瘍の検索を行う必要があります。
なお、糖尿病、高脂血症、高血圧などの動脈硬化性病変を基盤として発症した血栓症は、本シリーズでは血栓性素因には含めないものとしたいと思います。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 21:24| 血栓性疾患 | コメント(0)