金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2009年12月26日

ループスアンチコアグラント検査と血小板除去フィルター

ループスアンチコアグラント検査は、抗リン脂質抗体症候群の診断に不可欠な重要な検査です。ただし、ループスアンチコアグラント検査はデリケートな検査で、検体処理を適切に行うことが重要です。

今回紹介させていただく論文は、ループスアンチコアグラント検査においてフィルター処理(血小板除去)が重要であることも論じています。



「抗リン脂質抗体症候群における診断的臨床検査であるループスアンチコアグラントの検出方法としてのクロスミキシングテスト(交差混合試験)」
著者名:家子正裕、ほか。
雑誌名:臨床病理 57: 990-998, 2009.

 

<論文の要旨>

活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)は、通常は内因系凝固活性化機序の凝固因子欠損をスクリーニングする目的で用いられます。

ただし、APTTの延長がみられた場合には、凝固因子欠損による出血傾向のみでなく、ループスアンチコアグラント(LA)による血栓傾向も考慮する必要があります。

そのため、APTT延長時の鑑別診断は重要です。この目的として「クロスミキシング試験」は大変重宝です。

APTTの延長がLAによる場合には、正常血漿に少量(10〜20%)の患者血漿を加えるのみで凝固時間の延長がみられます。一方、APTTの延長が凝固因子欠損による場合には、患者血漿に正常血漿を加えますと凝固時間の延長が是正されます。

また、LAに感度の高いAPTT試薬(PTT-LA)を使用することにより、更に良好な成績を得ることが可能です。

加えて、検体処理時には0.2μmのフイルターを用いて血小板を除去することもLA測定感度を上昇させる上で肝要です(註:管理人も全く同感です!)。

LA検査の工夫により良好な検査結果を得ることが可能ですが、LAの確定診断、定量化に向けての更なる検討が必要であると、総括しています。

 

 

 ループスアンチコアグラント(LA)が陽性か陰性かによって、治療方針が変わることも多々あります。そういう意味でも、精度の高いLA検査はとても重要だと思います。




【リンク】

血液凝固検査入門(図解)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解)


研修医の広場金沢大学第三内科 当科での研修の様子をご覧いただくことができます。

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:51| 血栓性疾患 | コメント(0)

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