金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2009年12月25日

筋肉内血腫&皮下出血、血友病?:血液内科試験

金沢大学 血液内科系統講義試験が行われました。

まず、血栓止血領域の問題紹介と、簡単な解説を試みたいと思います。なお、右サイドの記事カテゴリより「医師国家試験・専門医試験対策」をクリックいただきますと、過去問の記事をもれなくご覧いただけます。

詳細に解説した過去問記事がありますので(ページ最下段の「次の20件」をクリックして最後のページまでご覧ください)、ご参考になるのではないかと思います。



【設問】

患者:73歳男性。筋肉内の大血腫、皮下出血の精査目的に来院した。関節内出血はみられない。

血液検査は下記の通りであった。
Hb 7.2 g/dL,血小板数 28.4万/μL,出血時間2分,PT 10.2秒,APTT 85.7秒,フィブリノゲン 361 mg/dL,FDP 8.3 μg/mL。

出血傾向の既往はなく、血縁者にも出血傾向のみられる者はいない。

「この73歳男性の疾患」と「血友病A」に共通しているのはどれか。一つ選べ。


a. 遺伝形式
b. 主な出血部位 
c. 破砕赤血球の出現
d. 血小板凝集能の低下
e. カオリン凝固時間の延長

 

【解説】

出血のため貧血があり、APTTの明らかな延長が見られていますが、血小板数、出血時間、PTは正常です。出血傾向の既往はなく、血縁者にも出血傾向のみられる者はいない、という記載より、先天性の出血性疾患ではないと考えられます(血液凝固検査入門)。

念押しで、関節内出血(先天性の血友病で特徴的)はみられないとまで書かれていますので、血友病ではないようです。

後天性血友病
が最も疑われます。後天性血友病では、関節内出血はまずなく、むしろ筋肉内の大血腫、皮下出血が特徴的です。

ということで「後天性血友病」と「血友病A」に共通しているのはどれか、という問題になります。


a. 血友病は伴性劣性遺伝しますが、後天性血友病はもちろん遺伝しません。

b. 主な出血部位は、後天性血友病は筋肉内出血、皮下出血です。血友病は関節内出血、筋肉内出血が特徴的です。

c. 破砕赤血球は、どちらの疾患でも出現しません。TTP、HUSなどで見られます。

d. 血小板凝集能は血小板機能を評価する検査ですが、どちらの疾患でも正常です。

e. カオリン凝固時間は、カオリンという異物による凝固をみる検査です。APTTと同様に、内因系凝固活性化機序をみる検査です。後天性血友病、血友病ともに延長します。

 

【正答】 e

 


【シリーズ記事】

血液凝固検査入門(インデックスページ)ー図解ー

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:05| 医師国家試験・専門医試験対策 | コメント(0)

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