血餅退縮能とは(2):検査方法
血餅退縮能とは(1):血小板無力症のスクリーニング検査より続く
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リンク:血餅退縮能(インデックス)
血餅退縮能検査の目的
やはり、血小板無力症のスクリーニング検査としての意義が大きいです。
血餅退縮能の次のステップの検査としては、出血時間、血小板凝集能、血小板膜糖蛋白GPIIb/IIIa解析などになります。
血餅退縮能検査の方法
1) Macfarlane法(全血を使用)1)
・ 静脈血を採取して、目盛りつきのガラス遠心管に正確に5 mL入れます。
・ 針金付きのゴム栓をします(針金先端は、後で血餅を取り出すことができるように鉤状になっており血液の上層にひたる長さにします)。
・ 血液が凝固した後に、遠心管を37℃の恒温槽で、1時間incubationします。
・ 1時間経過した後、静かに針金を引き上げて凝血塊を取り除き、収縮により、凝血塊(血餅)よりしぼり出された血清量を読みます(S mL)。この際、artifactで血清量が多くならないように、静かな操作が肝要です。
・ そして以下の式により血餅退縮能を算出します。
・ 血餅退縮能=S/{5×(1—Ht/100)}×100(%)
2) Castaldi変法(血漿を使用)2)3)
・ 抗凝固剤であるクエン酸ナトリウム入り試験管で採血し、50G、15分室温で遠心し、多血小板血漿(platelet rich plasma:PRP)を採取します(血小板数をカウントします)。
・ その後、2000G、30分で遠心して、乏血小板血漿(platelet poor plasma:PPP)を採取します。
・ PRPをPPPで希釈して、血小板数20万/μLに調整します。
・ ガラス試験管に調整済みPRPを1mLとり、37℃の恒温槽に入れます。
・ 数分後に、トロンビン溶液(生食で50単位/mLに調整)0.2mLをPRPに加え、1時間incubationします。
・ 凝血塊(血餅)が収縮し、血清部分との分離が生じるので、ピペットで血清を取り出し、その容量(A ml)を測定します。
・ 血餅退縮能は、以下の式で求められます。
・ 血餅退縮能=A/1.2×100(%)
血餅退縮能検査の基準値
1) Macfarlane法:40〜94%
2) Castaldi変法:80〜95%。50%以下は異常。
(続く)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:40| 凝固検査