血餅退縮能とは(3):検査に影響を及ぼす因子
血餅退縮能とは(2):検査方法 より続く
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血小板無力症の分類
1. GPIIb/IIIaの量的異常
1) タイプI:GPIIb/IIIaが正常の5%以下に著減。血餅退縮は欠如。
2) タイプII:GPIIb/IIIaが正常の10〜20%存在。血餅退縮はほぼ正常。
2. GPIIb/IIIaの機能的異常(variant型)
GPIIb/IIIaが正常の50%以上存在するにもかかわらず、血小板無力症の病態。
血餅退縮は欠如する例も残存する例もあり。
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血餅退縮能検査に影響を及ぼす因子
1) 血小板数:
血小板数<10万/μLでは血餅退縮能の減弱傾向が観察され、血小板数<5万/μLでは明らかな減弱がみられます。
2) 血小板無力症:
血餅退縮能は明らかに減弱します。ただし、GPIIb/IIIaが正常の10〜20%存在するtype IIでは、血餅退縮能は低下しないことが多いです(上の表)。
Variant typeでは、欠損するものと、欠損しないものの両者の報告がみられます 4)5)6)7)。
また、血小板機能が低下する疾患の中でも、storage pool disease、von Willebrand病などでは異常になりません。
3) 赤血球数の異常(全血を用いた場合):
赤血球数の多い症例では低値を示し、赤血球数の少ない(貧血)症例では高値を示しやすいです。
4) フィブリノゲン量または機能の低下:
血餅退縮能の減弱がみられます。
5) 線溶亢進症例、第XIII因子欠損症:
血餅が経時的に縮小または溶解する現象がみられます。
6) 試験管:
ガラス試験管ではなく、シリコン処理試験管またはプラスチック試験管を用いると病態を有した検体でなくても、血餅収縮は悪くなります。
(続く)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 02:05| 凝固検査