金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2010年01月18日

血餅退縮能とは(4):血餅収縮の意義

血餅退縮能とは(3):検査に影響を及ぼす因子 より続く


● 関連記事:血液凝固検査入門(図解シリーズ)

リンク:血餅退縮能(インデックス)

 

血餅収縮の意義

1)    止血機序:

止血過程において、血小板粘着、血小板凝集、凝固活性化(フィブリンの形成)と進行した上で、凝血塊(血餅、止血血栓)が収縮することで、より強固な止血が完了します。


2)    血栓症:

血小板を含有した血栓により血管が閉塞された場合であっても、血栓が収縮することで、血液の再還流が期待できます。

ただし、血餅退縮が生じることで、血栓が線溶の作用による溶解を受けにくくなりかえって不利になるという考え方もあります 8)。

 

血餅退縮能の関連検査項目

1)    出血時間:

出血時間は、

・血小板数の低下

・血小板機能の低下(血小板無力症、von Willebrand病、アスピリン内服など)

・血管壁の脆弱性

のいずれかがみられる場合に延長します。

 

2)    血小板凝集能:

血小板無力症では、ADPの一次凝集の低下という特徴的な所見がみられます。

 

(続く)

血餅退縮能検査とは(5):参考文献

 

 

【リンク】

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 03:18| 凝固検査