不応性ITPに対する免疫抑制薬の併用療法(治療法)
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の治療は、ピロリ菌の除菌療法も治療選択肢に加わったことで、たとえば10年前と比較して治療しやすくなったのではないかと思います。
しかし、現在においても難治性の症例が少なくないのも事実で、さらなる治療法の改善、工夫が求められています。最近のBlood誌に、不応性のITP症例に対する免疫抑制薬の併用療法の報告が出ましたので、紹介させていただきたいと思います。
「不応性の特発性血小板減少性紫斑病に対する免疫抑制薬の併用療法」
著者名:Donald M, et al.
雑誌名:Blood 115: 29-31, 2010.
<論文の要旨>
不応性の慢性特発性血小板減少性紫斑病(ITP)に対する治療選択肢は限られています。
著者らは、ITPやその他の疾患に対して、免疫抑制薬を併用して投与する治療は有効かもしれないとの考えから、特に重症で不応性のITP症例を対象に検討しています。
検討症例はITP19例で、血小板数3万/μL以上および血小板数が2倍以上になった場合を有効と判断しています。
治療薬は、アザチオブリン、ミコフェノール酸モフェチル(Mycophenolate mofetil)、サイクロスポリンです。これらの症例は、種々の前治療が中央値6回行われていました(1例を除いて摘脾術も行われていました)。
19症例中14例(73.7%)では治療効果がみられ、中央値24ヶ月効果が持続しました。ただし、8例(57.1%)ではその後再燃しました。再燃した8例のうち6例では治療の追加により反応がみられました。1回目の治療で反応のみられた14例のうち、2例(14.3%)では全ての投薬を中止した後も寛解を維持しました。
重篤な副作用はみられませんでした。
以上、不応性ITPに対する免疫抑制薬の併用療法は、血小板数を上昇させる上で有効(時に効果が持続)と考えられました。
いろいろな疾患において併用療法が行われていますが、ITPに対して免疫抑制療法を併用したという観点から、新鮮に感じる治療法ではないかと思います。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 02:03| 出血性疾患