金沢大学呼吸器内科(間質性肺炎):研究室紹介(4)
【呼吸器研究グル−プ(4)】
<肺疾患グループ>
間質性肺炎の領域は、病型の多様性(IPF,NSIP, COP, EP, DIPなど)のため、それぞれの病態毎の機序や原因の解明がなかなか進まないのが現状です。
抗アミノアシルtRNA合成酵素(ARS)抗体に注目し、間質性肺炎の病型との関連を検討した結果、非特異的間質性肺炎(NSIP)との関連が示唆されています。
長年、乾性咳嗽は間質性肺炎の症状の一つだと信じられてきました。数年来、それぞれの病型の間質性肺炎患者の咳嗽について、その原因疾患を追求してきました(一般常識に対する挑戦的研究)。
その結果、大部分が慢性咳嗽の原因疾患による咳嗽であることが判明しました。すなわち、間質性肺炎を軽快せしめることは不可能な場合でも、咳嗽を軽快させることは可能となった訳です。
また、IgG4関連疾患にも興味を持ち、本疾患が高率に好酸球性気道疾患を合併することを明らかにしつつあります。
高戸先生は「Nonspecific interstitial pneumonia with abundant IgG4-positive cells infiltration, which was thought as pulmonary involvement of IgG4-related autoimmune disease, Intern Med. 2008」にて、第18回白山カンファレンス奨励賞を獲得しました。
基礎的研究では、高戸先生は肺の線維化におけるキマーゼの役割について研究し、キマーゼが好中球性炎症を惹起することによって、TGFβを介する肺の線維化に関与していることを明らかにしました(学位論文投稿中)。
さらに犬塚先生は「アンジオテンシン受容体拮抗薬の肺線維化抑制作用におけるACE2及びAng1-7の関与」について精力的に実験し、ARBの肺線維化抑制効果はACEの減少とACE2の増加を介するAng1-7の増加によってもたらされることを明らかにしました(学位論文投稿中)。
(続く)
【関連記事】 咳嗽の診断と治療
1)ガイドライン
3)急性咳嗽
5)咳嗽の発症機序
7)咳喘息
10) 胃食道逆流症(GERD)
11)慢性咳嗽&ガイドライン
【関連記事】
慢性咳嗽の診療
非小細胞肺癌治療の最前線
肺がんに気づくサイン
【リンク】
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 03:46| 呼吸器内科