金沢大学血栓止血研究室(イントロ):研究室紹介(1)
金沢大学第三内科から、呼吸器内科の研究室紹介 、血液・移植研究室の紹介 、に続きまして、今回からは、金沢大学血液内科(血栓止血研究室)の紹介に入ります。
今回も、執筆時点からの経過がありますので、現状とは若干異なっている点があることを御了解いただければと思います。
【血栓止血グループ(1)】
血栓止血研究室は、血栓止血学を臨床・研究・教育のテーマとしています。
全身臓器に分布する血管を対象としますので、多くの他領域と関連が深いのが特徴ではないかと思います。血栓止血学は血液内科の領域の一つと思われがちですが、「血管内科」と言った方がよりわかりやすい学問なのかも知れません。
近年の臨床現場での話題の一つといたしまして、深部静脈血栓症(DVT)や肺塞栓(PE)に対する臨床各科の関心の高まりをあげることができます。
最近では、整形外科領域のみならず腹部手術(一般外科、産婦人科、泌尿器科)においても、術後のDVT発症を予防する目的としてフォンダパリヌクス(商品名:アリクストラ)や低分子ヘパリンであるエノキサパリン(商品名:クレキサン)の使用が保険収載されており、当院においても既に数多くの症例での処方がなされています。
今後、血栓止血領域において「予防治療」的な考え方がますます浸透していくのではないかと思っています。個人的には、人類が疾患の有無とは関係なく抗血栓療法治療薬を内服するような時代がくるような気がしています。
また、遺伝子組換えトロンボモジュリン製剤(商品名:リコモジュリン)が2008年5月からDIC治療薬として発売されました(参考:播種性血管内凝固症候群(DIC))。
全例調査が必要であるため、まだ全部の医療機関で使用できないのが残念なところですが、今後のDIC治療の主軸の一つになるのではないかと思います。
(続く) 金沢大学血液内科 血栓止血研究室紹介(2)スタッフ へ
【リンク】
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:15| 血栓止血(血管診療) | コメント(0)