2010年03月28日
金沢大学血液内科 血栓止血研究室紹介(4)抗リン脂質抗体症候群/APS
【血栓止血グループ(4)】
抗リン脂質抗体症候群(APS)に関する基礎的検討・臨床研究については、精力的にとり組んでいます。
ここ数年、新規抗リン脂質抗体として注目されている「フォスファチジルセリン依存性抗プロトロンビン抗体(aPS/PT)」について、多くの大学、診療科との共同研究を進めています。
これらの研究の結果、IgM型aPS/PTは微小循環障害を来たし、その結果、妊娠初期流産や網状皮斑、皮膚潰瘍などの皮膚症状をもたらすとともに、劇症型抗リン脂質症候群の原因抗体であることが明らかとなってきました。
外来には、血栓症の患者さんが多数紹介受診され通院されていますが、抗リン脂質抗体症候群(APS)により死産を経験したことを公表し、アスピリンとヘパリン注射によりお子様を授かった女優さんの影響に加え、患者さん同士の口コミもあり、不育症患者様の紹介あるいは自分から希望しての受診が増加しています。当院外来にもヘパリン皮下注射のため毎日通院している患者さんが常時10名以上いらっしゃいます。
抗リン脂質抗体症候群(APS)はいまだ不明の部分も多い疾患群ですが、徐々に解明され、コントロール可能となりつつある部分もあります。先生方の周りで原因不明の血栓症・不育症の患者様がいらっしゃいましたら、是非ご紹介頂ければと思っています。
(続く)金沢大学血液内科 血栓止血研究室紹介(5)先天性凝固異常症 へ
【リンク】
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:32| 血栓止血(血管診療) | コメント(0)