線溶関連マーカー(2):t-PA/PAI-1複合体など
線溶関連マーカー(1):Dダイマー(D dimer)など より続く
線溶マーカーとは(2)
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その名称通り、FDPには、フィブリン分解産物もフィブリノゲン分解産物も含まれますが、通常はフィブリン(血栓成分)分解産物がほとんどです(換言しますと多くの場合は、FDPとDダイマーは併行して上昇することが多いです)。
FDPやDダイマーの高値は、凝固活性化によって血栓が形成されて、かつその血栓が溶解したということを意味しています。つまり、凝固活性化も線溶活性化も進行したということになります。
t-PA/PAI-1複合体:
狭義にはt-PAとPAI-1両者の複合体のみを指しています。
血管内皮から産生されたt-PAはPAI-1と結合して、循環血中に遊離型t-PAはほとんど存在しません。そのため、t-PA/PAI-1複合体は、t-PA抗原量と近似した値をとることになります。
t-PAが上昇する病態では、PAI-1はさらに著増する(遊離型PAI-1も大量に存在する)ことが多いです。
PICが上昇した場合には線溶活性化の病態を反映していますが、t-PA/PAI-1複合体が上昇した場合には線溶抑制の病態になっていることが多いため(たとえば線溶抑制型DIC)、注意して評価する必要があります。
ニックネームとしてのDダイマー:
なお、科学的なDダイマーは前述の如く架橋化フィブリン分解産物の最小単位を意味してますが、測定キット名としてDダイマーは、架橋化フィブリン分解産物の最小単位のみならず、その他の架橋化フィブリン分解産物も測り込んでいます。つまり、Dダイマーがニックネーム的に使用されることも多いです。
(続く)
【リンク】
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:02| 凝固検査 | コメント(0)