金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2008年10月17日

Dダイマー(D dimer:DD)とは? :FDP/Dダイマー比

DD

 

Dダイマー
(D dimer:DD)

参考書籍リンク:しみじみわかる血栓止血 Vol.1 DIC・血液凝固検査編  ←  クリック

正式名称:
Dダイマー(D dimer)

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類義語:
架橋化フィブリン分解産物(cross-linked fibrin degradation products)

正常値:

用いる試薬、機器により異なります(通常正常値は、<2〜3μg/mL)

意義:
Dダイマーの説明をさせていただく前に、FDPの説明をさせていただきたいと思います。FDPは、fibrin/fibrinogen degradation productsの頭文字をとっています。直訳すれば、フィブリン/フィブリノゲン分解産物です。ですから、FDPは、フィブリン分解産物とフィブリノゲン分解産物の両者を合わせた概念です。

さて、Dダイマーですが、架橋化フィブリン分解産物の最小単位です(フィブリンは重合したのちに、第XIII因子によって架橋化を生じます)。ですから、FDPの一部の一部がDダイマーということになります。

ほとんどの病態では、FDPとDダイマーは平行して上昇しますが、時に解離する(FDPが著増するにもかかわらず、Dダイマーは軽度上昇に留まる)ことがあります。線溶活性化が極めて高度なタイプのDICでは、フィブリノゲンの分解が進行してしまうために、FDPが著増するにもかかわらず、Dダイマーは軽度〜中等度上昇に留まる現象がみられます。

Dダイマーが上昇する病態:
1)DIC
2)DIC準備状態
3)深部静脈血栓症、肺塞栓
4)大量の胸水、腹水(DICとの鑑別が問題となる)
5)大血腫の吸収(DICとの鑑別が問題となる)
6)その他の凝固・線溶活性化状態

Dダイマーが低下する病態:

なし

関連マーカー:

1)FDP:上記
2)可溶性フィブリン(soluble fibrin: SF)、フィブリンモノマー複合体(fibrin monomer complex: FMC):フィブリノゲンがフィブリンに転換しておく過程で産生されます。


臨床に役立つお役立ち情報:

FDP/Dダイマー比(Dダイマー/FDP比)で、ある程度DICのタイプが分かります。

線溶亢進型DIC(旧名称:線溶優位型DIC)では、フィブリン分解のみならず、フィブリノゲン分解も進行するために、FDP/Dダイマー比は大きくなります(Dダイマー/FDP比は小さくなります)。

線溶亢進型DICの病型診断のためにはPICの測定が不可欠ですが、医療機関によってはPICが即日結果の出ないこともあると思います。このような場合には、FDP/Dダイマー比によっても、ある程度病型を推測することが可能です。

 

 

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:04| 凝固検査 | コメント(0)

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