2010年06月15日
血液専門医試験対策:抗リン脂質抗体症候群(APS)症状
血液専門医試験対策:抗リン脂質抗体症候群(APS)病態 から続く
抗リン脂質抗体症候群(APS)の症状(血液専門医試験対策)
APSの症状は多彩です。血栓症は動脈、静脈のいずれにも見られ、大血管から毛細血管レベルまですべての血管に発症します。
<抗リン脂質抗体症候群にみられる症状>
1. 動脈血栓症
脳梗塞、一過性脳虚血発作、末梢動脈血栓症、皮膚潰瘍、網膜中心(分枝)動脈閉塞症、狭心症、心筋梗塞、腎梗塞、肝梗塞、腸管膜動脈血栓症など。
2. 静脈血栓症
深部静脈血栓症、肺塞栓、網膜中心(分枝)静脈閉塞症、脳静脈洞血栓症、肝静脈血栓症(Budd-Chiari症候群)、副腎静脈血栓症、腸管膜静脈血栓症など。
3. 不育症(習慣性流産を含む)
4. その他:網状皮斑、舞踏病、てんかん、心臓弁膜症など。
動脈血栓症では、脳梗塞、一過性脳虚血発作などの脳血管障害が多く、虚血性心疾患は少ないです。
静脈血栓症では、深部静脈血栓症や肺塞栓が高頻度にみられます。
APSに伴う妊娠合併症には、自然流産・不育症、妊娠高血圧症・子癇などが知られています。
子宮異常や染色体異常の流産が、妊娠前期に多いのに対して、APS症例における流産は、妊娠中期や後期にも少なくないのが特徴です。
血栓症と妊娠合併症以外に、心臓弁膜症、網状皮斑、血小板数減少症、微小血栓による腎障害、舞踏病なども、APS関連疾患として知られています。
なお、(表在性)血栓性静脈炎(superficial thrombophlebitis)は深部静脈血栓症(deep vein thrombosis)とは異なり、APSやその他の凝固異常とは無関係と考えるのが一般的です。
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【リンク】
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:10| 血栓性疾患 | コメント(0)