2010年07月10日
血友病患者における心血管疾患の管理
血友病は出血性疾患です。
血液凝固因子製剤によるコントロールが良好になってきたためだと思いますが、今回紹介させていただくような論文も良く目にするようになってきたように思います。
「血友病患者における心血管疾患の管理」
著者名:Coppola A, et al.
雑誌名:Semin Thromb Hemost 36: 91-102, 2010.
<論文の要旨>
血友病患者における心血管疾患の罹患率や死亡率は、一般男性と比較して低いものと考えられています。しかし、適切な補充療法の普及により血友病患者の包括的治療は改善しており、上記の問題は臨床的にも重要性を増しています。
血友病患者を対象とした虚血性心疾患の臨床試験は、充分と言えるものはありませんが、現実問題として臨床試験の実施は不可能ではないかと思われます。
エビデンスに基づいたガイドラインはないため、症例報告の解析に依存せざるを得ませんが、適切な補充療法が行われているという前提であれば、虚血性心疾患や心手術の管理は非血友病と同様に行えばよいと考えられます。
抗血栓療法は、血栓症発症のリスクと、既に存在している出血傾向のバランスを考慮しながら行うことになります。
今後、血友病患者の高齢化に伴って、臨床医は心血管疾患にも配慮しながら管理する必要があるため、他の専門医へのコンサルトも重要になってくると思われます。
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:56| 出血性疾患